物流とは?概要から目的、主な機能まで基本を徹底解説

新型コロナウイルスの影響により、通信販売による買い物を行う人も多くなりました。それに伴いニーズが高まるのが物流業界です。この記事では、物流とはなんなのか、その概要について解説し、物流の目的や機能、種類などについて解説します。物流は多くの人々、企業に関連しているものであるため、基本をしっかりと押さえておきましょう。

物流とは?概要から目的、主な機能まで基本を徹底解説

物流とは?

-概要・目的・主な機能など基本を解説-

物流とは

物流とは、企業が商品を消費者に届けるまでの一連の流れのことです。ただ単に物を運ぶことを指しているのではなく、その過程にある商品を保管すること、包装することなど、消費者のもとに届けるまでに発生する全ての工程が物流に含まれます。

また、消費者に商品を届けるだけでなく、小売店に届けることも物流の一部です。日常生活の中で、インターネットショッピングなどで商品を購入する、スーパーで商品を購入するといったことは当たり前のように行われていますが、その背景には物流の存在があるということを覚えておきましょう。

物流の目的

物流の目的は、企業から消費者・業者へと商品を届ける際に発生する時間的なギャップ・空間的なギャップを埋めることです。いくら優れた商品があったとしても、物流が十分に機能しておらず、消費者のもとに商品がいつまでも届かなければ意味がありません。場合によっては、物流の遅れによって企業に大きな損害をもたらす可能性もあるでしょう。このような事態を避けるためにも、物流会社はいかに届け先の近くで商品を管理し、スムーズに届けるかということに取り組んでいます。

物流=ロジスティクスではない

物流と似ている言葉にロジスティクス*があります。物流を英語にするとロジスティクスになると説明されることもありますが、物流業界においては、ロジスティクスを構成する要素の1つが物流と捉えられています。

ロジスティクスとは、消費者や企業に対して商品を適切に供給する仕組み・概念のことです。必要な商品を必要とされているタイミングに、必要としている人の近くの場所で必要な数量を供給するための仕組みだと考えてください。

そして、物流は先ほども説明しているように、企業から消費者に届けるまでの一連の流れのことです。つまり、商品を届ける一連の流れ(物流)を一元管理し、適切に商品を供給できるようにするための仕組み・概念がロジスティクスということになります。
ロジスティクス* :「ロジスティクスとは? 概要からメリット、課題まで基本を解説」

物流のもつ6つの機能

物流には大きく分けて以下のような6つの機能が存在します。

  • ・配送
  • ・輸送
  • ・保管
  • ・荷役
  • ・梱包
  • ・流通加工
  • ・情報管理

これらの機能の連携によって企業から消費者や業者へと商品を届けることが可能となります。ここでは、この6つの機能の概要について解説します。

配送・輸送

配送・輸送とは、トラックや船、鉄道、飛行機などを使って商品を移動させることです。企業と消費者・業者との空間的なギャップを埋めるための工程と考えることもできます。物流と聞くと、多くの人はこの配送・輸送を思い浮かべるのではないでしょうか。

保管

保管とはその名の通り、商品をある場所に一定期間保存して管理することです。例えば、届け先となる消費者に近い場所にある物流センター*で商品を保管できれば、すぐに届けることが可能となります。そのため、保管は企業と消費者・業者との時間的なギャップを埋めるための工程と考えることができるでしょう。なお、保管はただ倉庫においておけばいいというわけではなく、商品に応じた方法で保管しなければなりません。
物流センター* :「物流センターとは?物流サービスの高度化につながる倉庫の概要を解説」

荷役

荷役とは、配送・輸送や保管を行う際に発生する、商品を取り扱う活動のことです。具体的には、商品をトラックに積み込む、荷降ろしする、物流センターに入出荷するといったことが当てはまります。

梱包

梱包とは、商品を輸送する際や保管する際に品質・状態を維持するために商品を容器などに包むことです。例えば、物理的なダメージから守るためにダンボールや木箱に収納することなどが当てはまります。商品の破損はトラブルにつながりかねないため、丁寧に梱包することは非常に重要です。

流通加工

流通加工とは、消費者や業者に商品を届けるまでに、物流センターや倉庫などで商品を加工することです。これは、商品の価値を高めることを目的として行われます。具体的には、ラッピングやラベルの張替えなどが当てはまります。

情報管理

情報管理とは、物流の過程で発生する各種情報を的確に把握・管理することです。ここでいう情報とは、ここまで紹介した物流の過程で生まれる情報のことで、それらの情報を用いて各過程をより効率化させることが情報管理の目的といえます。

物流の5つの領域

物流には、企業の活動内容や対象となる物品によって以下の5つの領域に分けられます。

  • ・調達物流
  • ・生産物流
  • ・販売物流
  • ・回収物流
  • ・消費者物流

ここでは、これらの領域の概要について解説します。

調達物流

調達物流とは、メーカーが商品を作る際に必要となる原材料や部品を運ぶ物流活動のことです。現在では、多品種少量生産が主流となっており、必要なものを必要な量だけ必要なタイミングで調達し製造することは、コスト削減につながるため、多くのメーカーにとって重要なものだといえます。

生産物流

生産物流とは、工場内における物流のことです。具体的には調達した原材料や部品の管理、工場内における流通、製品の管理、包装、発送などが当てはまります。また、本社から工場への移動、工場から支社への移動など社内での移動も生産物流に含まれます。

回収物流

回収物流とは、商品や容器の回収を行うことです。回収対象となるものは、古新聞やガラス瓶、家電など再資源化可能なものであるため、回収物流は再資源化の過程の1つということもできます。商品を送り届ける活動ではありませんが、これも物流における一つの領域です。

消費者物流

消費者物流とは、消費者に対して直接提供される物流のことです。具体的には、引越しや宅配便、トランクルーム、無店舗販売などが当てはまります。

物流アウトソーシングの活発化

インターネット通販が活発化し、また新型コロナ感染症の影響によって流通量も上昇傾向となっている昨今において物流コストへの関心を高めない企業はありません。
物流コストの削減の手段として、物流業務をアウトソーシングする企業は少なくありません。物流コストには、入庫、棚卸といった在庫管理から物流センターや倉庫といった設備費用、商品を保管場所から消費者や次の目的地まで運ぶのにかかる人件費や燃料費などそのほか多くの項目が含まれています。
自社ですべての物流業務を行おうとすると多大なコストがかかることが容易に想像できるでしょう。また、季節性のある商品を扱うような企業は業界のトレンドによって物流コストに大きなギャップを抱えることになります。

一方で、一部もしくは物流業務のすべてをアウトソーシングすることで必要な時に必要な分だけ業務を委託でき、コスト削減も実現できるのです。こうした背景から物流業務のアウトソーシングが活発化しています。
また、物流アウトソーシングの主なサービス形態として近年3PL*や4PLが注目されています。
気になる方はぜひ解説コラムもご覧ください。

3PL* :3PLとは?荷主企業の業務負担の軽減につながる業務形態の概要を解説

船井総研ロジが注目!物流の話題のタネ!

「物流」について、船井総研ロジが考える、今押さえておくべきキーワード・トピックをご紹介します。

物流DX

近年、DX(Digital Transformation:デジタル・トランスフォーメーション)という言葉を頻繁に見かけるようになりました。もちろん、物流も例外ではありません。当社では、物流DXをさらに以下のように分類しています。

  1. ①物流管理業務のDX
  2. ②物流オペレーションのDX・省人化
  3. ③顧客インターフェースのDX
  4. ④社内情報のDX
  5. ⑤サプライチェーン全域のDX

より詳しく物流業界におけるDXについて知りたい方はこちらのコラムをお読み下さい
物流DX|今後の課題と企業の動き ~物流改善を進めるための実践ノウハウ(7)~

2024年問題

トラックドライバーの高齢化と人手不足は、以前から発信されている周知の事実です。さらに、2024年4月より自動車運転業務に対して、時間外労働の上限規制が適用されます。これが、いわゆる「物流業界の2024年問題」と言われているものです。ドライバー1人当たりの労働時間の短縮が行われると、より一層のトラック不足が進むことが容易に予測することができます。

さらに詳しく2024年問題について知りたい方はこちらのコラム をお読み下さい
物流(宅配)クライシスの再来?2024年問題まで3年を切った今、何をするべきか

物流と環境問題

近年、地球環境への意識の高まりを受け、投資家・顧客・その他ステークホルダーはESG (Environment-環境、Social-社会、Governance-ガバナンスの略称)を優先する取り組みを行うようになりました。日本の物流業界における二酸化炭素(CO2)の排出といえば、「トラック輸送」のイメージが強いと思いますが、実は物流センターの業務でも二酸化炭素(CO2)が多く排出されています。こうした環境に配慮した取り組みは社会的責任を果たすという意味も確かにありますが、それ以外にもメリットがあります。その1つがコスト削減です。物流センターでのエネルギー削減や配送の効率化を進めることで、大幅なコスト削減に繋がる可能性があります。

船井総研ロジが提唱するロジスティクスESGの実行についての資料ダウンロードが可能です
ロジスティクスにおけるESG実行の手引き

まとめ

今回は、物流の概要から機能や役割などについて解説しました。商品を消費者や業者のもとに届ける物流は、人々の生活になくてはならない重要な役割を担っています。昨今ではインターネットショッピングを利用する人が増えたことや商品が多様化したこともあり、いかに商品を傷つけずスピーディーに届けられるか、ということが物流会社の課題だといえるでしょう。

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