第249回 物流コンペ成功のキーファクター8

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

物流コスト削減施策のひとつであります「物流コンペ」を成功に導くための手法を公開いたします。

今回から、物流コンペの手順についてその内容を考察いたします。

(1)物流企業参加企業のリストアップ

1.物流コンペ参加企業の選定

自社の物流コンペに参加して頂ける企業のリストアップを行います。

参加企業数は、概ね5社〜10社程度となります。

参加企業の選定方法はまずロングリストを作成し、ショートリストへと絞り込みをかけます。

物流コンペにおける参加企業ロングリストとは、物流コンペに参加して頂く物流企業名を一定の法則に基づいて抽出し、リストアップすることです。

①既存物流企業

既存の物流委託先企業も当然第一候補となります。

これまでの経験則やその運営によって培われたノウハウは、今後も十分に活用可能だと想定されます。

既存物流委託先のメリットは、何よりも立ち上げリスク(キックオフリスク)が最小レベルとなるからです。

物流委託先の変更による最大の懸念事項は、立ち上げ時による混乱や、情報システムの連携不具合など、極めて大きなリスクがあることです。

一方で、既存委託先の弱みとしては、現行の契約料金がある以上、新たな物流コンペで大幅なコストダウンとなる料金提示は期待できないことです。

物流センターの物件や、輸送モードが大きく変更となった場合は、この限りではありませんが、サプライズな提案や料金提示はあまり期待できません。

②大手物流企業or大手3PL企業

大手ならではの、専門性や総合力を期待します。

特に、海外からの海上輸送及び通関業務など、国際複合一貫輸送に強みを発揮します。

候補となる物流センターの物件数や情報収集力は、荷主企業が自社で探すよりも期待できます。

また、情報システム力が高いため、品質の高い物流作業を期待する場合は、大手物流企業に優位性があります。

デメリットしては、料金レベルが一致するかという点です。

大手物流企業は当然のことながら、一般管理費や社員人件費が他の中小企業と比較して高いため、単純な価格競争だけではその価値を見いだすことは困難かもしれません。

③専門特化型物流企業

知名度はあまり高くないけれど、特定業務に特化した専門企業やその地域に強みを持っている地場物流企業などが該当します。

例えば、メーカー系の物流子会社などは、料金や品質面で驚くような提案があることも想定されますので、面白い存在となります。

特に、共同配送やマテハン機器の共同利用などに期待が持てます。

地域に特化した地場物流企業も、料金や企業マインドなどの視点でかなり面白い存在です。

デメリットは、立ち上げ経験が少ないことや、主要顧客の影響が大きいことなどがあります。

このロングリストの段階では、荷主企業の推薦する物流企業と、当社のような物流コンサルティング企業の推薦によって約5社〜10社程度を候補企業として、リストアップいたします。

この段階で、物流コンペ参加候補企業リストを作成し、一次コンペへ参加していただく物流企業の概要や担当営業部門・営業担当者名などを明確にいたします。

次に、ロングリストの優先順位に基づいて各参加候補企業へ連絡を取り、物流コンペの参加について確認を取ります。

(2)物流コンペ開催のお知らせ書作成及び通知

ロングリストに記載している物流企業担当者へ電話もしくはFAX/E-MAILなどで、物流コンペ開催の趣旨を記載したご案内書を作成して、通知いたします。

通知書に記載する内容は、今回開催する物流アウトソーシング選定コンペの概要趣旨と説明会の日時・場所などとなります。

・・・次号へ続く。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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