中国ECロジスティクス最前線 2021.01.21

京東物流:JD Logisticsのスマート物流 ~中国最大の直販ECサイトに成長した「京東商城(JD.com)」を牽引する中国・物流網No.1の物流企業~

みなさん、こんにちは。船井総研ロジの魏です。昨年に引き続き、日中越境ビジネス支援を担当しています。末長くお付き合いくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

今回は、中国BtoC ECシェアNo.2の「京東商城:JD.com(JDドットコム)」とそれを支えてきた、京東グループの物流企業「京東物流:JD Logistics」について、考察していきます。

京東物流:JD Logisticsとは?中国最大の直販ECサイトに成長した「京東商城(JD.com)」を牽引する中国・物流網No.1の物流企業|船井総研ロジ株式会社

1.京東商城:JD.comとは?

中国EC最大手の1つ、京東商城:JD.comをご存知でしょうか。京東商城:JD.comは、中国最大の直販ECサイトで、王者アリババの地位を長年脅かす通販巨頭です。

前回のコラムでは、アリババグループが爆売りを実現した中国最大のEC商戦日の「独身の日」について解説しました。それに匹敵する超大型セールの「618セール」(6月1日~18日まで開催)を仕掛けるのが、京東商城:JD.comです。

京東商城:JD.comの618セール

「618セール」は京東商城:JD.comの創業祭に由来します。1998年6月18日に創業した京東商城:JD.comは、2004年にSARS禍で光磁気製品の販売からEC業界へ進出し、618セールをスタートしたのです。そして、京東商城:JD.comは2014年に「WeChat」を運営するテンセントから約2億ドルの投資を受け、アリババに対抗する実力を確保できました。また、2018年にGoogleから5.5億ドルの投資を受けることで知名度が一気に上がりました。

京東商城:JD.comの市場シェア

京東商城:JD.comの市場シェアについてですが、2020年8月の公開レポートによりますと、中国のECサイトシェアの50.1%を独占するTmall(アリババグループ)に次ぐ、26.51%の市場シェアを占めしております。また、大セールでの業績ですが、京東商城:JD.comは2020年の618セールで2,692億元(約4.04兆円、1元=約15円)の売上総額を達成した後、同年の独身の日のセールで2,715億元(4.07兆円)の売り上げを達成しました。

売上総額は連続業界2位でしたが、京東商城:JD.comが強みとする自社物流の京東物流:JD Logisticsの無人化・自動化設備の活用により、セール期間中90%の直販オーダーを24時間以内に宅配することができたので、返品率が低いだけではなく社会から大変評価されています。京東商城:JD.comの強みは物流にあるという側面が伺えます。

京東:JD.comとは?|船井総研ロジ株式会社

2.京東物流:JD Logisticsのスマート物流

京東商城:JD.comの強みを牽引する京東物流:JD Logisticsについてご紹介します。

京東物流:JD Logisticsの歴史

まず、京東物流:JD Logisticsの歴史を紹介します。京東物流:JD Logisticsの前身は、京東商城:JD.comから2017年に独立した自営の物流企業です。設立初期に、京東物流:JD Logisticsはフルフィルメント施設での倉庫保管、輸送、配送、アフターサービスなどの包括的なサプライチェーンと物流ソリューションを顧客に提供しています。

そして、2018年にJD Expressという京東宅配便サービス(B2C)を開始し、2019年にメーカーから流通業を、そして、消費者までの新コールドチェーン(F2B2C)輸送サービスをスタートさせました。

わずか3年弱ですが、京東物流:JD Logisticsは中国最強の「スマート物流」と業界トップクラスの物流サービスを強みとして全世界で広く知られることになりました。

京東物流:JD Logisticsの自動化・AI活用

2020年9月末時点の公表データによりますと、京東物流:JD Logisticsは、中国全土でリアル倉庫800個以上を運営し、クラウド倉庫面積を加えると総面積20,000万㎡の倉庫を管理しております。倉庫の規模は非常に大きいですがJDLは技術革新の長所を活かしてスマートサプライチェーンを構築し、京東物流:JD Logisticsの在庫回転率を業界最高水準の34日間まで抑えました。

そこで、B2Bの物流ネットワークが中国全土100%の地域・直販配送サービスが中国人口の99%をカバーすることで、中国物流業界の成長と国民生活の改善に大きく貢献しています。

2020年11月、京東物流:JD Logisticsが物流担当者を1万5千人増やすという記事が日本経済新聞に掲載されました。コロナ禍で物流企業が大きく落ち込んでいるものの、京東物流:JD Logisticsは自前の物流インフラで、ネット通販の需要から医療物資を配送するニーズまで巨大な物流を請け負いました。それができるのは、ロボットによる倉庫内の荷物の運搬・配送準備や、ドローンからの宅配配送など、最新テクノロジーで物流の自動化・無人化を実現したためです。こういった努力を積み重ねた結果、2021年の新規株式公開(IPO)に向けて準備している京東物流:JD Logisticsは社会から4兆円を超える評価額が見込まれています。

京東物流:JD Logisticsの自動化・AI活用(イメージ)
京東物流:JD Logisticsの自動化・AI活用(イメージ)

3.京東商城:JD.comが牽引する中国国内ECの実態とアリババグループ天猫との差別化

前回のコラムで紹介したアリババの「菜烏網絡(Cainiao)」こそが、中国最大級の物流企業だと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、京東物流:JD Logisticsは、ビジネスモデルも競合優位性も「菜烏網絡(Cainiao)」と大きな隔たりがあります。

京東商城:JD.comの物流戦略

これら2つの企業の関係性は、日本の楽天とアマゾンの関係に似ている面があります。出店者から出展料を徴収するモール型のアリババECサイトは日本での楽天に近く、自社で商品を仕入れる直販型の京東商城:JD.comは日本全土に物流ネットワークを張り巡らしたAmazonに近い形態です。つまり、「菜烏網絡(Cainiao)」は他社でも利用しやすい開放的な物流企業のプラットフォームとして物流業界全体の効率化を図ることをミッションとしていることに対し、京東商城:JD.comはAmazonと同じく、自社独自の物流ネットワークを最強武器としようとしているところに大きな違いがあります。

ビジネスモデルが違うことで、Eコマース市場の約8割を占めるアリババのTモールと京東商城:JD.comの関係には、競合も協調も必要だと考えることができます。特に、最近急成長した新勢力「拼多多:Pinduoduo」の登場は、アリババと京東商城:JD.comへの警鐘であると業界で考えられています。そのあたりは次回のコラムで戦略と物流面から考察していきます。

アリババグループや京東商城:JD.com、拼多多:Pinduoduoが牽引する中国巨大市場

今回お伝えしたように、京東商城:JD.comは自社物流を武器にアリババと差別できたことでアリババのEC市場独占に歯止めをかけたのは事実です。同時に物流システムの見直しが通販事業の肝心であることを証明しました。

越境販売ビジネス実践フォーラム第2弾|船井総研ロジ株式会社

当社は、アリババグループや京東商城:JD.com、拼多多:Pinduoduoが牽引する中国巨大市場へ、越境ロジスティクスから始めるサプライチェーンの構築をサポートしています。

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Pen Iconこの記事の執筆者

魏 仙麗

船井総研ロジ株式会社

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