第175回 物流アウトソーシングの落とし穴(8)~顕在化した課題と潜在化する問題点~

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

■顕在化した課題

物流アウトソーシングの課題を抽出した後は、その事象がどのタイミングで発生することになるのかを、時系列で整理します。

横軸に、課題の発生タイミングを並べると判り易いと思います。

まず第一にアウトソーシング前に発生している課題、第二にアウトソーシングを実行した直後に発生する課題、第三はアウトソーシングの安定化が図れた後に発生しうる課題となりまます。

縦軸には、課題の項目を分類します。

大分類に「受注」中分類に「締め切り時間」小分類に「特定顧客」などといった大枠から細分化して、課題の原点を最小の項目とすると他部門の人が見ても理解しやすい「課題一覧表」ができあがります。

現状調査の段階で明確になった課題は、その対処や改善策の立案もアウトソーシング前にに考えることが可能となります。

現在起こっている課題と将来発生することが想定される課題とはその対処方に違いはあるものの、「発生」と「想定」の枠内で適切な改善を施すことが可能となります。

■潜在化する問題点

その一方で、予測は出来ても対処が想定しずらい課題も少なくはありません。

例えば、BCP(business continuity plan)に関する対応策がこれに該当します。

BCPとは、企業が営業活動を行っていく上で災害や不祥事・不測の事態などの緊急事態が発生した時に、重要な業務を中断することなく復旧させたり、代替処置を講じて企業が受ける被害を最小限に留める方策を講じておくことです。

地震列島と言われる日本において、物流センターを1拠点にするかリスクを考えて複数拠点にするかなど、リスクの考え方によって大きく戦略が異なることがあります。

地震が発生した場合の商品供給を、止めない方策と早期の復旧によって解決する方策では、不確実性に対する事前処置が大きく異なります。

このような潜在的な問題点も、ロジスティクスを担当する物流部門では予め対処法を検討しておく必要があります。

潜在的な不確実要因は、地震リスクの他にもシステム障害やリコールに関わる緊急対応などロジスティクスを取り巻く環境には欠かせない重要な問題点となります。

次号に続く。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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