第145回 物流企業のブランド戦略(1)〜絶対的な価値の創造〜

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

『物流企業のブランド戦略』

今回からは、「物流企業」の戦略に着眼点を置いた『物流企業のブランド戦略』について連載します。

物流企業の提供するサービスは、顧客の目に直接見えるものではなく、顧客の想像により購買が決定される特殊なメカニズムによって受注が成立します。

物流業のブランド戦略は、製造業のように商品そのものが明確であり比較も容易な相対的価値を提供する産業とは、異なった視点で構築することとなります。

物流サービスにおける顧客の購買動機は、簡単に言えば料金(運賃・荷役料・保管料などあらゆる対価)比較となってしまい、それは市場における「相対的な価値」が優先され、個々が保有する「優れた価値」を見出せないままに意思決定が成されているからではないでしょうか。

『ブランド戦略』とは、自社のポジショニングを明確にし、提供するサービスの特徴や機能を顧客へわかり易く伝えることが肝要です。

東京〜大阪間の10tトラックの運賃は、既に市場における「相対的な価値」が成熟しており、常識的な範囲内での取引が成立されます。

しかし、市場にそのサービス提供者が溢れてしまった場合は、時に非常識な料金が提示され、不継続(スポット)な価値として需要サイドは容易に受入れる市場でもあります。

では、輸入家具の「配送・開梱・組み立て・設置・廃材引取り」といった一般のBtoB配送とは異なるサービスは、「相対的な市場価値」が成熟しているでしょうか?

答えは『No』であり、それは「絶対的な価値」として競争優位な物流サービスの提供が可能なモデルとなります。

家電品の配送や設置、無農薬野菜を使った食材の配送なども、現段階では標準価格モデルではない高付加価値サービスと思われます。

「物流企業のブランド戦略」においては、いかに提供するサービスが市場へオーソライズされるかがポイントであり、「絶対的な価値」として価格設定権を主導できる明確なビジョン(構想)こそが成功の到達点となります。

次号に続く。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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