第126回 縮小化時代における荷主施策その3

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

取引物流企業の規模編

荷主企業が物流アウトソーシングを行う上で、その委託先企業の規模によって荷主施策も違いが生じます。

企業規模の大小どちらかが良いと言う訳ではなく、上場をしている大手企業や年商数百億円以上の中堅企業と年商100億円以下の中小企業とでは、取引関係も必然性を持って異なります。

では、大手物流会社と中小物流会社の特徴を並べてみます。

(1)大手物流会社の特徴
①資本力があり設備投資も積極的に行い倉庫・車両の自家保有割合が高い。
②財務力があり上場企業においてはその内容も開示されているので、透明性が高い。
③企画・設計・情報システムなど、物流業務運営に必要なスキルが期待出来る。
④組織力・ネットワーク力があり、自社で賄えない場合は他人資本との連携が期待できる。
⑤人事異動などにより、担当営業マンや責任者の変更などがある。

(2)中小物流会社の特徴
①資本力は大手には劣るが、専門性の高い組織体が多い。
②財務内容は不透明なので、定期的な確認を要する。
③地域や業態に特化している企業が多いので、その領域内では強み・特徴が明確である。
④ネットワーク力の強い企業と弱い企業があるので、自社領域外の対応には強弱がある。
⑤経営者もしくは経営層の顔が見える関係であり、両社の絆が深くなる事は必定である。

このように、大手企業と中小企業とではその特徴にもかなり相違があります。

荷主企業にとって、そのどちらのタイプが自社の企業風土や文化に合致しているかも、物流アウトソーシングを行う上で重要な要素となります。

物流コンペでは、「コストと品質」といった声をよく耳にしますが、企業規模による特徴や文化・風土の違いも今後双方が良好な取引を継続するには欠かせないものだと認識するべきでしょう。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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