ヨーロッパの物流業界~ヨーロッパの物流と日本の物流は何が違う?ヨーロッパ物流の特徴について解説します~

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同じ物流業界でも国によって多くの違いがあります。また、海外輸出をお考えの荷主企業はまず、輸出先の物流について知ることがとても重要です。

今号はヨーロッパ物流の特徴や日本の物流との違いについて解説します。

ヨーロッパ物流と日本の物流の輸送手段の違いとは?

日本では、航空・トラック・鉄道・海運の4つの輸送手段がありますが、ヨーロッパにはそれらに加えて、内陸水路という輸送手段があります。

内陸水路輸送はヨーロッパの商品の輸送において、重要な役割を果たしており、37,000キロメートル以上の水路が数百の都市と工業地域をつなげています。

内陸水路輸送の主なメリット

①信頼性
②エネルギー効率(※1)
③高度な安全性(特に危険物の輸送の場合)
④人口密集地域の道路混雑解消
⑤メンテナンスコスト削減 (表1)
⑥配送可能な物量(※2)

ヨーロッパの物流業界~ヨーロッパの物流と日本の物流は何が違う?ヨーロッパ物流の特徴について解説します~
表1 自動車部門フィンランド情報センター(AuT)のデータによる2018年度のフィンランドで輸送手段に関連する社会的費用の比較(排出、事故費用、インフラ整備など)

※1 内陸水路で輸送される貨物の1 km /トンあたりのエネルギー消費量は道路輸送の約17%、鉄道輸送の50%である

※2 標準的な長さ110 mの船で、約3,000トンの貨物を運ぶことができます。これは、40トントラックの75台分の旅程です

内陸水路輸送の特徴

内陸水路輸送は水位が輸送に大きな影響を与えます。2018年、航行可能な水路のほとんどで干ばつ期間が長引く厳しい年でした。ドイツのライン川地域では、この低水位の影響を受け、道路および鉄道輸送ではカバーできないサプライチェーンの混乱を引き起こしました。2019年第1四半期から第2四半期の間に水位が正常化したため、輸送価格が下落しました。

EUで内陸水路輸送されている主な商品は金属鉱石、コークス、精製石油製品および農業製品です。この3つの商品で、2017年にEU内陸水路でのすべての物品輸送の半分以上を占めています。

石炭輸送はヨーロッパ全体で減少していますが、コンテナを用いた内陸水路輸送と化学品の内陸水路輸送の需要は増加しています。コンテナ市場は依然として西ヨーロッパに大きく集中しており、2017年はコンテナ輸送全体の99%以上がEUの4か国(オランダ45%、ドイツ40%、ベルギー10%、フランス4.5%)で行なわれていました。

ライン川は、ヨーロッパで最も重要な流域です。 欧州内陸水路輸送による貨物輸送量の2/3をこのライン川で運んでいます。

現在、EUが資金提供しているプロジェクトが複数進行しています。これらのプロジェクトの目的は、内陸水路輸送の強化、航行性の確保、新しい国際海運サービスの促進、デジタル化の促進です。

ヨーロッパ物流のトラック輸送方法

日本には、路線便、宅配便、貸切便等のトラック輸送の方法がありますが、ヨーロッパにも同じような輸送方法が存在します。

フルトラックロード (FTL)

日本でいう貸切便のことであり、1つの荷主企業が荷台全体を利用します。この方法は、荷送人が10枚以上のパレットを運びたい場合によく選択されます。他の荷主企業の影響を受けないため、輸送時の停車地が少なく、破損等のリスクも低く、リードタイムは比較的短くなります。

小口トラック輸送(LTL)

日本でいう路線便(特別積み合わせ輸送)のことであり、自社の貨物が荷台の一部を占める陸上輸送サービスです。LTLは、複数の荷送人の貨物を積載し、仕向地、クラス、配達時間に従って1台にまとめられます。トラックを他の荷主企業と共有することにより、二酸化炭素排出量を削減できます。また、比較的、費用対効果が高いことが特徴です。

部分的なトラック輸送(PTL)

LTLとFTLを組み合わせたものです。1つの荷送人の貨物が荷台のかなりのスペースを占めるが、余ったスペースに異なる荷送人の貨物を積載します。こちらは、非路線事業者が手掛ける混載チャーター便のようなものです。

EU内とEU外の輸送の特徴

EUの輸送政策は、常に加盟国間の障害を克服し、単一の欧州輸送地域を創設することに焦点を合わせてきました。

EU内の道路輸送は統一されており、共通のEU規則に基づいていますが、EUとEU以外の国(第三国)の間の道路輸送は、依然として個々の加盟国と第三国間の二国間協定に基づいています。

一つの大きな規約にTIR (Transports Internationaux Routiers)条約があります。

TIR条約は1959年に採択され、EU国を含む70を超える締約国が加盟しています。国際的な通関輸送システムを確立し、国境で大規模な時間のかかるチェックをせず、商品を移動することが可能です。

トラック輸送による通関をカバーするだけでなく、他の輸送手段(鉄道、内陸水路、さらには海上輸送など)と組み合わせることもできますが、輸送の一部が道路で行なわれている必要があります。

TIRシステムを使用する場合、トラックドライバーが、TIRカルネットと呼ばれる通関書類を持つ必要があります。

現在までに33,000を超える事業者がTIRシステムの使用を許可されており、年間約150万のTIRシステムを活用した輸送が行なわれています。

インターモーダル輸送とマルチモーダル輸送

インターモーダル輸送・マルチモーダル輸送とは、同じ旅程で異なる輸送手段を使用することを指しています。

インターモーダル輸送

輸送モードごとに異なる輸送キャリアが存在し、それぞれ独立した契約を結ぶ必要があります。インターモーダル輸送の利点は、荷送人が運送業者を選択できるので、低料金で利用できること、および輸送スケジュールを適切にコントロールできることです。

マルチモーダル輸送

輸送モードごとに異なる輸送キャリアを使用しながら、単一の契約または船荷証券で、貨物を輸送します。そのため、荷送人の物流調整費用を最小限に抑えることが可能です。

インターモーダル輸送とマルチモーダル輸送に共通する利点は、輸送モードの効率的な組み合わせ、リードタイムの最適化、在庫コストの削減、輸送コストの管理によってもたらされます。 最適な組み合わせが実現することで、環境の持続可能性が向上し、輸送の二酸化炭素排出量が削減されます。

貨物輸送と旅客輸送のいずれにも当てはまることでありに適用され、どちらもデジタル化によって推進することができます。 最近、大手物流企業は、旅客から工業製品まで、幅広くカバーする鉄道、道路、短距離海路輸送を組み合わせたサービスを提供するケースが増えています。

まとめ

ヨーロッパ物流と日本の物流の違いについて、ご理解いただけたでしょうか。
次回はヨーロッパ物流が抱える課題にフォーカスします。

(次号:「ヨーロッパの物流業界(2)~ヨーロッパ物流が抱える課題と対策、日本が学ぶべきこととは?」)

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概要
ヨーロッパの物流業界が抱える課題(ドライバー不足・デジタル化・サステナビリティ)と対策について解説します。
詳細
https://logiiiii.f-logi.com/series/globalscope/europe-logistics-2/
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