値上げが止まらない!改定標準運賃案とは?

Pen Iconこの記事の執筆者

田代 三紀子

船井総研ロジ株式会社 執行役員 兼 コンサルティング本部 副本部長

製造業・小売業を中心とした荷主企業に対して、物流戦略策定の支援を行い、物流拠点の見直し、コスト削減策の提案、物流コンペの支援を数多く行ってきた。また、物流子会社に対しては存在価値、あるべき姿の策定、他社との競争力評価(物流子会社評価)を行っている。得意なカテゴリーは、化学、日用雑貨など。また、物流をテーマにした数少ない女性コンサルタントとして、脱炭素、ESGロジスティクス実行に向けた研修やコンサルティングを行っている。

≫ 荷主企業(製造・卸・小売業)向けコンサルティングについて、くわしく知りたい方はコチラ

2023年は、2024年問題対応に向けた値上げが多く発生した1年でした。2024年が間近に迫り、今もなお、継続した運賃交渉を進める企業も多いことでしょう。しかし、もし皆さんの中で、2024年問題を迎え、これで運賃値上げがひと段落・・と思っているのであれば、それは大きな間違いです。

昨年12月に国土交通省から標準的な運賃の見直しに向けた検討を進める旨の告知がありました。そこで本コラムでは、見直しのポイントで注目すべき内容について解説いたします。

物流企業と価格交渉し続けなければ事業継続も危うい?

国交省が進めている標準運賃の見直しのポイントで注目すべき内容は主に以下3点なります

  • 1,運賃水準の引き上げ
  • 2,荷役作業発生の作業料の設定
  • 3,下請けに発注する際の手数料の設定

今回は、「1.運賃水準の引き上げ」についてお伝えします。

「標準的な運賃」は2020年4月に国土交通省より告示されました。国民生活と経済を支える持続可能な物流を構築するためにも、法令を遵守して経営する際の参考となる運賃を示すことを目的としたもので、2024年3月31日までの時限措置となっています。時限措置の終了が迫った中で、実運送事業者に対して適切な運賃が支払われるようすることを目的に運賃水準の見直しが進められています。平均約8%の運賃引き上げを検討しているようです。以下グラフで運賃レベルを見てみましょう。

標準的な運賃案との価格比較(10t車/関東運輸局)

値上げが止まらない!改定標準運賃案とは?_船井総研ロジ

2020年4月に告示された標準運賃、区域平成2年基準運賃、区域平成6年基準運賃と現時点検討されている改定標準運賃案を比較しました。現状の標準運賃と改定案を比較すると10t車クラスの場合、平均して6.8%のアップ率となっています。現在みなさんが契約されている運賃(市場との価格)と比較すると更に価格差が広がる一方です。

しかし、これはトラック運送業の価格交渉が進んでいない、または、適切な運賃収受ができていないことを示しています。今後も価格交渉・適切な運賃収受ができなければ事業継続、さらには私たちの生活にも大きな影響を及ぼすことを示しています。

「標準的な運賃」には現時点では強制力を伴うものではありません。物流企業(トラック運送業)が安全を遵守しながらその機能を持続するために必要なものです。ただし、物流企業との価格交渉においては一方的に据え置く(交渉をしないなど)ことは独占禁止法に違反する恐れがありますので、ご注意ください。

コンプライアンスを遵守することはESGロジスティクス推進においても重要な要素です。一度自社の運賃レベルと標準的な運賃および改定案と比較してみてはいかがでしょうか。

【前回の記事】物流面の規制強化はESGロジスティクス実行のチャンス

関連するコンサルティング

ESGロジスティクス導入診断・実行支援

ESG経営への取り組みは、脱炭素社会における常識となっており、自社の取り組み状況に合わせた思案伴走から実行支援までサポートします。

ESGロジスティクスコンサルティング サービス紹介資料
  • 【下記のような課題・ニーズにお応えします】
  • ・ESGロジスティクス導入のきっかけが掴めない
  • ・ESGロジスティクスはどの様な取り組みがあるのか社内ではっきりしていない
  • ・ESGロジスティクスに取り組んでいるがなかなか結果が出ない
  • ・ESGロジスティクスを導入するにあたり、実運用のコンサルティングが必要と感じている
  • ・ESGロジスティクス導入への経営層・社内の積極的な取り組みが見られない

物流コスト妥当性評価

物流コストの構成要素を明確にし、コストに対して妥当性のある価値があるかどうかを評価します。荷主企業の運賃・荷役料・保管料の妥当性評価を行うことで、貴社物流コスト(個建荷役単価・個建保管単価)の妥当性を検証し、物流企業からの値上げに備えましょう。

物流コスト妥当性評価_船井総研ロジ株式会社
  • 【下記のような課題・ニーズにお応えします】
  • ・値上げが妥当なのか判断できない
  • ・コスト分析のノウハウが無い
  • ・そもそも市場価格がわからない
  • ・値上げによる影響を経営層に理解してもらえない
  • ・同業他社の値上げ状況や推移を知りたい
  • ・今後の値上がりリスクを知りたい

関連する無料ダウンロード

気になる物流時流アンケート調査結果レポート

運賃値上げ・保管料値上げ・物流センター移管、立ち上げ状況など、物流課題への対策と、取り組み状況を15項目にわたって調査し、その結果から物流業界の今後の動向について解説しています。

どうなる?物流業界 気になる物流時流アンケート調査結果 業界別レポート
  • 【アンケートの項目】
  • ・2024年以降の物流業界動向
  • ・運賃値上げ、価格動向
  • ・保管料値上げ、価格動向
  • ・荷役料(入出庫量)値上げ、価格動向
  • ・物流センター移管、立ち上げ …全15項目

ESGロジスティクス取り組み調査実施中

いつも船井総研ロジのESGメルマガを ご愛読いただき、誠にありがとうございます。企業のESGロジスティクスに関する取り組み状況を調査するため、アンケートを実施中です。

ご回答いただいた方には、回答結果をまとめた調査レポートを、無料でプレゼントします!

ESGアンケート調査_船井総研ロジ

ぜひ、ご回答ください。どうぞよろしくお願いいたします。

Pen Iconこの記事の執筆者

田代 三紀子

船井総研ロジ株式会社 執行役員 兼 コンサルティング本部 副本部長

製造業・小売業を中心とした荷主企業に対して、物流戦略策定の支援を行い、物流拠点の見直し、コスト削減策の提案、物流コンペの支援を数多く行ってきた。また、物流子会社に対しては存在価値、あるべき姿の策定、他社との競争力評価(物流子会社評価)を行っている。得意なカテゴリーは、化学、日用雑貨など。また、物流をテーマにした数少ない女性コンサルタントとして、脱炭素、ESGロジスティクス実行に向けた研修やコンサルティングを行っている。

≫ 荷主企業(製造・卸・小売業)向けコンサルティングについて、くわしく知りたい方はコチラ

その他の記事を読むArrow Icon

ページの先頭へ