倉庫にマッチするピッキング・仕分けシステムの選定方法

船井総研ロジ

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物流コンサルの船井総研ロジ

   
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倉庫内作業の中で最もコスト・工数が掛かる工程はピッキング・仕分け工程だと言われています。そのため、ピッキング・仕分け工程にかかる時間とコストを削減するためのシステムおよびマテハンの導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。

ただ、ピッキングシステムの種類も多様で、自社業務に適したものをどのように選定すべきか悩んでいる企業がほとんどでしょう。そこで今回は自社の物流センターに最適なピッキングシステムを選定する方法について解説していきます。

視点1 規模にマッチしたピッキング・仕分けシステムか

まずは、対象業務の規模について見ていきましょう。システム選定時には倉庫のフロア数を考慮する必要があります。

フロア数が1つの場合

例えば、倉庫が1フロアしかない場合、スタンド・アローン型のシステムをおすすめします。スタンド・アローン型のシステムとはコンピュータや情報機器が、ネットワークや他の機器に接続しないで、単独で動作できるシステム環境のことです。

1フロア運用の場合、他フロアに在庫がなく、スタンド・アローン型システムで十分に処理が可能な場合が多くみられます。スタンド・アローン型のシステムは最も費用対効果が出るため、まず初めに検討していくことになります。

フロア数が複数ある場合

倉庫が複数フロアにまたがる場合ですが、比較的取り扱い物量が多くなるのが特徴です。さらに、必要なプログラムの機能が多くなることで、プログラムのファイルのサイズが拡大する傾向にあります。

また、システムを使い続けるとデータベース内にデータが蓄積され、データを表示したり、検索する際に負荷がかかりやすくなります。

そこで、クライアントサーバシステムを活用します。高性能のサーバコンピュータを、それほど高性能ではないクライアントコンピュータが共同で利用する仕組みです。このシステムでは、サーバコンピュータとクライアントコンピュータのそれぞれに、専用のソフトウェアをインストールします。データベースは、サーバの中にあり、データベースのデータを使った難しい処理(誤ピッキング発生時の履歴確認など)は、サーバ内のプログラムが受け持ちます。クライアントは、問題発生時に履歴確認結果をもらうだけで比較的簡易な機能のプログラムを動かすことで稼働できます。物量が多い場合、多くのデータ処理に対応できるクライアントサーバ型システムの導入を検討しましょう。

なお、複数の物流センターの在庫を同時に管理する必要がある場合は、他拠点の情報を連携する必要があるためクラウド型のシステム導入を検討していきましょう。

視点2 取り扱う商品にマッチしたピッキング・仕分けシステムか

取り扱う商品によってもピッキング・仕分けシステムの選び方は変わります。

高価な商品の場合

例えば、高価なアクセサリーを取り扱う場合、音声方式のピッキングシステムが便利です。音声方式とは、ヘッドセットを頭に装着し、音声による指示(アナウンス)と音声による確認(応答)で行うピッキング方式です。目視検品のみならず、音声によるピッキングを行うことで両手を自由に使い、より品質の高い作業を行うことが可能です。

日用品などピッキング頻度が高い商品の場合

日用品などのピッキング頻度が高い商品の場合、デジタルピッキングシステムがおすすめです。デジタルピッキングとは、表示器を利用した作業支援システムです。作業者は表示器のランプが光った場所に足を運び、表示された数だけ商品をピックします。このように表示器の指示に従って行うピッキング作業は、正確かつスピーディーな作業を実現します。

医薬品などの高品質な物流サービスが求められる場合

医薬品を扱う通販物流倉庫の場合、商品単価が高く、ピッキング頻度も高いため、高品質な物流サービスが求められます。そのため、正確かつスピーディーなデジタルピッキングシステムによるピッキング方法がマッチします。しかし、格納する間口が狭く、表示木が設置できない場合があるため、どのような棚にも設置可能で電気工事が不要なプロジェクションピッキングシステムが便利です。プロジェクションピッキングシステムとはプロジェクターを使用し、ピッキング対象となる商品が入った間口に必要な情報(商品名・商品画像・ピッキング数量など)を映し出すことができるピッキングシステムです。

冷凍設備が必要な場合

当然ですが、冷凍庫の場合冷凍庫に対応したピッキングシステムを扱う必要があります。通常の音声方式またハンディターミナルでは、冷凍庫などで作動しない恐れがあるため、冷凍庫に対応した商品を選びましょう。

視点3 ピッキング方式にマッチしたピッキング・仕分けシステムか

皆様の現場でも既に、出荷頻度や商品特性などに合わせたピッキング方式(シングルピッキング、マルチオーダーピッキング、トータルピッキングなど)を選択されていると思います。

高い費用対効果やより品質の高いピッキング作業が得られるため、最適なピッキング方式の導入はピッキングシステム導入の入り口です。最適なピッキング方式が既に導入されていれば、後はピッキングシステムを導入し、作業を自動化するだけです。

しかし、最適なピッキング方式が導入されていても、間違ったピッキングシステムを導入してしまうと、費用対効果がでなかったり、すぐに使わなくなります。例えば、トータルピッキング方式だと、携帯端末(RFID端末、ハンディターミナル、タブレットなど)または音声方式システムによるピッキングシステムがマッチしていますが、違うピッキングシステム(デジタルピッキングシステムなど)を導入してしまうと、狙った費用対効果が得られません。

また、ケースやパレットピッキングの場合、フォークリフトを用いることが多く、ハンディターミナルによる作業を行うと手がふさがってしまいます。

そのため、フォークリフトを使用したピッキングを行う際は、通常のハンディターミナルではなく、ウェアラブルスキャナによるピッキングシステム導入も検討する必要があります。

ピッキング・仕分けシステム導入分析のすすめ

今回は在庫規模、商品特性、運用を考慮したピッキングシステムの導入方法を解説しました。

しかし、自社の物流センターにおけるピッキング・仕分けシステムを1つのシステムに定めてしまうことが最適とは言えない可能性もあります。複数のピッキングシステムを用いることが最適なケースが十分にあり得ますので、導入前には必ず詳細分析が不可欠です。

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