物流コンサルタントの視点 最新更新日:2022.05.24

在庫管理の徹底で物流コストを下げる方法

コロナ禍において、経済悪化の影響が進行しており、一部の業界を除く企業が取扱量減少により荷動きが停滞しています。需要が増加する製品と減少する製品の差が顕著に表れている状態です。

この時期、荷主企業が気を付けなければならない課題の一つが、滞留期間の長期化によるデッドストックの増加です。その影響により、保管スペース不足となり、スポットで外部倉庫を借りざるを得ない荷主企業もあるのではないでしょうか。

「欠品は悪」という考えが招く、物流コスト上昇

荷主企業の営業担当者としては、得意先の注文に対して、「すぐに納品したい」という想いがあり、必要以上に在庫を持つ傾向があります。「欠品は悪」という考えです。在庫を潤沢に持つことで、販売機会損失の発生を避けることが狙いです。

しかし、欠品による機会損失は具体的にどの程度の頻度で発生し、どれぐらいの機会損失、つまり売上に影響したのでしょうか。

このコロナ禍において、保管スペース不足となったのは、荷動きの停滞だけでなく、不稼働在庫の存在も影響しているのではないでしょうか。

荷主企業も売上減少で厳しい中、コストを削減しなければなりません。
その1つとして在庫管理による物流コスト削減があげられます。

在庫管理と物流コスト

在庫管理とは

在庫管理とは、原材料、部品、仕掛品、製品として保管されている商品に対して、在庫品の価格の低下や品質の劣化を最小限の費用で管理し、顧客から要求される入庫・出庫量とリードタイムを満足出来る状態にする事です。

・在庫管理の詳細はこちらからお読みください
 「在庫管理とは?企業の売り上げにもつながる活動の概要を解説

在庫管理に関わる物流コストとは

在庫に関わる物流コストは、次のものが含まれます。

人件費

倉庫作業などに必要な人員の費用です。

保管費

倉庫自体や保管に使用する什器、倉庫内でかかる水光熱費、土地・建物にかかる租税など、商品を保管するにあたって必要となるものすべてに対する費用を指します。

保管費に影響を与える要素

保管費は、次の要素から影響を受けます。

エリア

土地取得単価は倉庫単価に直結します。エリアごとの土地取得価格がそのまま倉庫単価に反映されるものではありませんが、保管単価の格差を生むひとつの要因となります。

庫腹事情

倉庫に空きがある企業であれば、保管料は最低限でも埋めることを優先し、入出荷量で収益確保することを図ります。反面、満庫状態にあると利益率の低い仕事は敬遠される傾向になります。
空き面積にできるだけ近い形で利用することができれば一層安い価格を引き出すことができます。空き面積に対して一部しか利用しなければ、空き面積が複数荷主にまたがることになるため倉庫側からは受けがたいものになります。

荷量

受託する物流企業にとってインパクトの大きい荷量を提示できれば、一層競争力のある単価まで交渉できる可能性が高まります。

荷姿・梱包

効率的に保管するには定型のケースが積上げられることが望ましいです。そのためにはケースサイズ、荷姿、内容物のつまり具合、ケース・フレコンの強度など、積上げることを想定することで保管効率は変化します。

倉庫の償却状況

倉庫自体の償却状況によっても提示できる単価が異なります。償却完了している倉庫であれば、庫腹事情によっては地域相場以下の単価提示も期待できるものと考えられます。

アイテム数

出荷作業を考慮するとアイテム数によってロケーションが分割されるため、最大でSKU数だけ間口が必要になります。10アイテムと100アイテムでは間口数が異なり、その分保管効率も低下することになります。

管理内容

アイテム数以外に管理上、ロケーション区分が必要になる場合は保管効率に影響を与えます。ロット管理、賞味期限管理などは代表的なもので、管理するためにロケーション区分することで保管効率が低下することになります。

特殊要因

温度設定、湿度設定は基本的な設備が代わるため倉庫単価が異なることになります。
商品の特性や荷姿により段積みできないなど、1坪あたりに保管できる量が制限される場合は、単価UPの要因となります。
その他商品によっては防塵、照度対策が必要になると設備投資が必要になります。

在庫管理に関連する物流コスト削減方法 -不稼働在庫の抽出-

在庫管理に関連する物流コスト削減としては、様々な方法が考えられます。
その一つに保管単価の廉価な倉庫へ保管場所を移すというのもあるでしょう。その前に、まずは外部倉庫に保管されている製品の在庫期間から不稼働在庫を抽出することです。

以下3つのポイントを見ることが重要です。

1.荷動きがない製品を抽出する

出庫がないにも関わらず入庫が定期的にされており、結果、在庫過多になっている製品です。または、入庫も出庫もなく半年以上荷動きがないために倉庫に滞留している在庫です。
出庫の予定があるのか、販売終了となった製品が忘れ去られて倉庫に残されたままなのか、在庫超過の理由を明確にする必要があります。一つの指標として、半年以上入出庫もなく、在庫している製品をターゲットとして見ることができます。

2.在庫品の責任所在を明確にする

1において荷動きがない製品を抽出できたら、次にその在庫の責任所在を明確にすることです。在庫が増える理由の一つとして、責任所在が明確になっていないことがあげられます。

3.在庫することで発生している物流コストを見える化する

ここが一番重要です。在庫が多いということを理解しても、その在庫に対してどれぐらいの物流コストが発生しているかということを理解してもらう必要があります。2において明らかになった在庫の責任者に対して、不稼働在庫に関わる物流コスト(付加コスト)を示すことです。

荷主企業の物流部においては、在庫管理の領域に踏み入れることは社内の反発に会う可能性があり、一歩引いてしまいがちです。しかし、物流部の役目としては、不稼働在庫を抽出し、それらに対してどれぐらいの物流コストが発生しているのか示すことが重要です。
大事なのは、社内に対して物流コストの意識づけをすることです。

“物流コスト削減”の取組は、実は自社内で取り組める要素があるのです。物流企業や3PLへ任せるだけでなく、荷主企業自らもできることから取り組んでいきましょう。

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Pen Iconこの記事の執筆者

田代 三紀子

船井総研ロジ株式会社 シニアコンサルタント

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