物流品質はPPMの数値だけで判断できるのか?

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普勝 知宏

船井総研ロジ株式会社 ロジスティクスコンサルティング部
チームリーダー チーフコンサルタント

製造業や通販企業などの荷主企業に対し物流の改善提案を行い、物流拠点の見直しや物流業務委託先の再選定(物流コンペ)を進めてきた。物流拠点の見直しでは、コストやリードタイムだけでなく拠点BCP等のリスクも加味した提案を行っている。
また、物流業務委託先選定ではRFPの作成支援・コンペ事務局などを実行し、定量・定性両面での物流会社評価を行う。現在は物流現場の作業生産性向上や保管効率向上、5Sの導入による倉庫管理の改善に注力しており、各社の物流現場に合わせた改善手法の提供を行っている。​​

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物流業界でよく耳にするPPMとは?

物流センターや倉庫内における物流品質は一般的に、PPM:Parts Per Million(パーツ・パー・ミリオン、100万分のX)という単位で管理されます。物流業界で耳にすることが多いPPMとは、100万件あたり何件ミスが発生しているかという意味で、物流品質を管理するための1つの指標です。例えば、100万件の出荷で100件のミスが発生した場合は100PPMとなります。物流業界でPPMはしばしば誤出荷率とも呼ばれ、その算出式は、誤出荷発生件数÷作業総件数×1,000,000です。

自社で倉庫運営している荷主企業、物流業務をアウトソーシングしている荷主企業、物流業務を受託している物流企業、いずれであっても誤出荷は避けたいと考えるのが当然です。しかし、誤出荷発生件数を限りなくゼロに近づけることは可能であっても、必ず限界点が存在しています。一般的にはピッキングから梱包作業まで完全自動化を達成した倉庫でも10PPM程度が限界値ともいわれています。

物流品質の向上に欠かせない取り組み

物流品質の向上を実現するには、このPPMの数値を把握するとともに、目標数値を設定することが重要です。多くの企業から「我々の業界の平均PPMはいくつですか」「同業他社ではどのくらいの数値を設定していますか」と聞かれることがあります。業界や商材によって大まかな目安はあるものの、作業手順や作業内容、システム運用は各社によって異なるため、単純な他社比較は困難です。

他社との比較よりも優先すべきなのは、自社(自センター)における前月比または前年同月比です。前月または前年同月と比較することで品質の向上(低下)の度合いをはかることができ、問題の所在の明確化と課題の解決策を講じることに繋がります。

ピッキングミス=誤出荷は正しいのか

また、ここで問題となるのが、何を誤出荷としてカウントするかという点です。ピッキングミスによって誤出荷してしまった場合は、ほぼ全ての企業が誤出荷としてカウントされるかと思います。では、ピッキングミスが発生したものの検品時にミスを見つけ、誤出荷には至らなかった場合はどのように処理されているでしょうか。誤出荷を防ぐことができたミス(=工程内ミス)なので、誤出荷としてカウントしなくてよいのでしょうか。

顧客からのクレームにならなかったミスや事故をカウントしなければ、、PPMの数値が下がります。しかし、ミスの解決策がきちんと講じられないため、再発の可能性が非常に高いです。どこでミスが発生したのか、なぜ起きてしまったのか、業務フローのどこに問題があったのか、再発を防止するためにはどのような改善策が必要なのかを考えなければなりません。

物流品質はPPMの数値だけで判断できるのか?

一般的に、目標数値の設定や管理を行い始めると集計することが目的になってしまいがちです。物流品質を判断する際はPPMの数値だけを見て一喜一憂するのではなく、現場で発生したミスの原因を突き止め、改善策を定めることができる現場かどうかを見極めることが大切です。

当社では物流品質の向上を実現する倉庫業務改善コンサルティングを行なっています。委託先との交渉によるコスト削減が困難な今、物流品質を高めることでコスト削減を目指しましょう。

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また、物流業務委託先選定ではRFPの作成支援・コンペ事務局などを実行し、定量・定性両面での物流会社評価を行う。現在は物流現場の作業生産性向上や保管効率向上、5Sの導入による倉庫管理の改善に注力しており、各社の物流現場に合わせた改善手法の提供を行っている。​​

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