物流品質マネジメント

概要

第1講義 時流講話
第2講義 物流品質マネジメント

第1講座 時流講話

通販市場は拡大を続け、商品をお届けする宅配会社の重要性は日々増大していますが、宅配会社は個人宅までの配送(ラストワンマイル)を手放す時代に突入しました。
これには2つの理由が挙げられます。

(1)宅配会社の事情
一番の理由としてドライバー不足が挙げられます。宅配会社に限った課題ではありませんが、個人宅への配送は不在による再配達などにより負荷が大きくかかっているのが現状です。

(2)消費者の事情
一人暮らしの方や共働き世帯が増えてきていて、たとえ宅配会社のドライバーであっても自分の家に入れたくない、自分の家を知られたくないという方が増えています。

この2者の間に存在意義を見出したのがコンビニエンスストア(CVS)です。
CVSは宅配取次店として商品の受け渡しを行うだけでなく、来店客による収益も期待できるため、3者間でWIN-WIN-WINの関係が成り立っています。

取次店候補はCVS以外にもまだまだあると考えられます。

JR・私鉄の駅(全国10,496駅)
ガソリンスタンド(全国 約33,510店)
クリーニング店(全国 約110,000店)
新聞販売店(全国 約17,600店)

営業時間や店舗キャパシティーの問題もありますが、ビジネスチャンスの可能性は大いにあると言えます。

BtoBであれBtoCであれ、輸出であっても輸入であっても、輸送手段の確保は喫緊の課題であると言えます。若年層ドライバーが減少傾向の中、5年後・10年後もドライバー不足は解消されない課題であることが予測されます。

第2講座 物流品質マネジメント

(1)品質管理における主要KPIとその管理手法

品質を管理するポイントとは?
品質管理と一口に言っても、何をどう見て、どう判断すれば良いのか分からない方が多くいらっしゃると思います。ここでは、管理のポイントと見極めに必要な数字データの収集について解説を行いました。

そして、管理するだけで終わりではありません。品質改善のための重要ポイントを押さえて目標(KPI)を設定する手法を解説しました。

(2)物流“カイゼン”における、プロの視点

物流のカイゼンに着手するには、物流を構成する要素を理解し、物流全体像の把握を行うことが必要になります。物流全体像の把握には、
・物流フローを描く
・トータル物流コストを機能別(輸配送・保管・作業)に整理する
の、2つが重要な要素となります。

機能別コストが明確になったところで、それぞれに対してコストダウン施策を練っていきます。

講義の中では、輸配送コスト削減のポイント、保管コスト削減のポイント、作業コスト削減のポイントとともに、荷主が持つべき機能としてのコスト基準の重要性についてお伝えしました。

輸配送コスト削減ポイントの一つとして、配送便の使い分けを挙げました。使い分けにあたっては、小口数と出荷方面(エリア)での分類が必要です。

保管コストの削減ポイントとしては保管効率の向上を挙げました。貨物の形態や棚・建物の高さの活用、空気保管の削減など、保管7原則を軸に解説をしました。

作業コスト削減には物流業務を、定型業務/非定型業務さらにはレギュラー業務/イレギュラー業務に分類することが重要です。
ノウハウや専門性を要する非定型業務は極力減らし、標準化された定型業務に移行することがポイントとなります。

(3)5Sプロの視点と評価事例

5Sの定義を再確認し 5S 活動の具体的取り組み手順と、もたらされる効果について講義を行いました。
何のための 5S 活動か、 5S 活動が目標ではなくカイゼンの手法の一つであることを見失ってはいけません。
実際の物流現場で見受けられた低評価事例と高評価事例を、写真を使って比較し理解を深めました。

第3講座 パネルディスカッション

〔質問〕

今日の講義は作業標準化が重要とのことでしたが、当社でも担当者が作業標準書を作成するように指示しています。過去に取り扱っていた商材も型番・カテゴリー毎に作業手順が異なり、半分以上がイレギュラー対応が求められるものでした。標準書作成が困難であったため、パートタイム熟練者の記憶を頼りに作業を行っていました。こういった場合はどのようにして作業標準書を作成すればよいのでしょうか。

〔回答〕

半分ずつでも構わないので先ずは定形業務と非定型業務を分類し、定型業務については繰り返し作業を作り出すための標準作業を作り込みます。残り半分の非定型業務については、熟練者の中でも特に作業スピードの速い方や作業品質が優れている方のビデオを撮り、非定型業務に携わっている熟練者に撮影したビデオを見せます。様々な状況の中でも、どのように繰り返し作業に持っていくかを工夫して現場に落としこむことで、生産性の向上に繋げることができます。 いずれにしても現場に今日来られた方がすぐ執りかかれるような標準作業を作り込み、一方でノウハウをお持ちの方には判断を要するようなレベルの高い業務を行っていただく事が3年後/5年後の将来を見据えた際に効果的だと言えます。

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