物流DXによるデジタル・ロジスティクス改革|プロが解説!物流改善の実践手法
前回のコラムではマテリアルハンドリングの活用ステップ・導入までに取り組むべきことを解説しました。
【前回の記事】失敗しないマテハン導入の基本構造とは
今回は物流DX導入のプロセスや、導入までにおさえておくべきポイントをお伝えします。
目次
DX(デジタル・トランスフォーメーション)化の加速
いまや国を挙げてDX(デジタル・トランスフォーメーション)化に向けて各社は進化しようとしています。物流オペレーションも例外ではありません。業務にアナログ作業が残っていれば、その分手間がかかり人手が必要となります。
物流DXは、自社だけの改革では目指すべきゴールとはならないものです。物流は一方から物が入り、もう一方へ出ていきます。それら一連の流れをすべてデジタル化させることが、合理化のロードマップであり“真の物流DX”となります。
DXとは、ただ単にデジタル化するだけではなく、トランスフォーメーション=変革させることが狙いであり、それは従来の業務プロセスの延長線ではありません。デジタルを活用して激変しなくてはトランスフォーメーションにはなりません。欲を言えば、サプライチェーン全域がデジタル化することで、完全効率化が目指せることになりますが、それは簡単ではなくグローバル対応や市場構造の問題によって時間がかかるものと思われます。
物流DX化対象プロセス
特に日本は、メーカー・卸・小売と3階層に商流が分かれているため、それぞれの利害衝突と業界慣習が情報シームレス化を遅らせています。下の図表1は物流センターにおけるDX対象プロセスとなります。
物流DX導入マトリックス
自社内もしくは委託している物流事業者内で取り組みが可能な物流DXは、受注業務・物流センター内作業・配車等となりますが詳しくは後述します。下の図表2は物流DX導入マトリックスです。
ここから見てとれるように、自動倉庫や仕分ソーターは投資金額も高額であり、一度設置すると10年間は動かさない覚悟が必要となります。
わが国における物流事業者および3PL事業者の省人化・ロボティクス化が進みづらいのは、大規模投資と荷主契約期間のギャップ問題があります。この問題についても別途後述します。自動配車システムやバース予約管理システムは、既に完成度の高いパッケージが販売されているので、比較的導入は容易であると思われます。
しかし、世のパッケージソフトを利用する際には、自社の業務に合わせてソフトウェアをカスタマイズして運用するのではなく、パッケージへ業務を合わせる工夫が必要です。なぜなら、パッケージソフトは、すでに標準化された業務プロセスが基本となって作られています。いくつかのパッケージソフトを比較検討して、あまりにも自社業務との乖離や不足があった場合、それは自社の業務内容やプロセスに問題があるケースが多いと思われます。
DXを推進している企業は、まずは業務標準化が全ての肝となることを理解して頂きたいと思います。
物流DXのプロセスは、①標準化②デジタル化③可視化④トランスフォーメーションとなり、現状から激変することで劇的な合理化が実現します。
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