第60回 物流子会社の彷徨(10)

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

親会社のグループ戦略により、ノンコア事業と認定され売却を決めた物流子 会社A社には、売却後も継続して物流面を担ってもらわないといけません。

売却時のキャピタルゲインを求めるのではなく、自グループ内では達成 できないコストダウンを求めての売却である以上、買い手に求める期待は とても大きなものと成らざるをえません。

期待される効果としては以下5点を重要項目と考えます。

(1)自グループ内で達成できるコストダウン以上の物流費削減
(2)現状以上の品質・サービスレベル向上
(3)グローバルなロジスティクスサービスの提供
(4)物流サイドからの、改善や改革の提案
(5)物流に関わる投資の減少及びオフバランス  

これら5点が出来るだけ多く達成期待される企業への売却が、今回の 事例的な物流子会社のM&Aとなります。

必然的に、投資ファンドやキャピタルゲイン対象の資本家群への売却は有り得ないものと考えられます。

当該物流子会社よりも規模が多く、且つ物流に関わる事業会社が一番の組み先となり、合併もしくはその傘下に加わる事によって、より大きなシナジー(相乗効果) が期待される相手を見つけないとならないのです。

物流業界でも、M&Aの潮流は激しく動いています。

特に、買いのオファーに対して、売りの案件数がアンバランスであり、今回のような売上規模のある程度あるA社は、引く手数多(あまた)なディールとなり、情報のコントロールを制限 しないと、もの凄いオファーが殺到します。

 将来における、品質・サービスレベルの向上と継続的なコストダウンを実現 できるM&Aとは、瞬間的な売却益(キャピタルゲイン)目的のM&Aよりも 多くの課題と難題があるディールと言えます。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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