第253回 物流コンペ成功のキーファクター12

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

物流コスト削減施策のひとつであります「物流コンペ」を成功に導くための手法を公開いたします。

物流コンペの手順はこちらです 
http://www.f-logi.com/service/butsuryu-compe.html

「物流コンペ成功のキーファクター」全11シリーズ 総括

物流コンペを成功に導くためには、「物流コンペ」という一大イベントを、清らかな水の流れのように、円滑に且つ合理的に進めることが肝要です。

合理的に物事を進めるには、事前の準備や関係者との調整を入念に済ませ、正しいゴールを明確にすることが重要です。

”なぜ物流コンペを実行するのか?”

その意味と目的を十分に議論したうえで実行プロセスに入らなくては、儀式的な位置付けとなり、目的を達成することが困難となります。

永年物流コンペを観察し実行してきた筆者として、日本の多くの荷主企業が開催する物流コンペの委託先選定基準は、ガラパゴス的な委託選定の基準が主体的となり、本質的なパートナーシップを考慮した評価内容ではないことに憂慮しています。

「コストダウン」が主目的であり、「品質向上」は当たり前といった荷主企業をよく見受けられますが、この程度の目的意識では「ポスト物流コンペ」において、成功とは言えない例が少なくはありません。

コストダウンが目的としても、

・どの費用項目をどれだけ下げたいのか?
・現状の課題は何で、どうあるべきなのか?
・自社の物流体制は先進的であり、競争優位なシクミとなっているのか?

これらの問題を事前にはっきりと整理しておく必要があります。

現状の体制と比較して、具体的にどこをどう変化させるのか?

またそのことによって、どのような影響とリスクが予見できるのか?

などを、予め想定しておくことが重要です。

「コストダウンと品質向上は両立できない!」・・・これは思い違いです。

コストダウンと品質向上は、目的と手法を間違わなければ、共存可能なスローガンです。

・「物流コンペで新しい委託先を選定したが、立ち上げに失敗して物流がガタガタになってしまった」
・「物流コンペでコストが大幅に削減できたが、誤出荷や在庫差異が以前よりも悪化した」

このような体験や事例は、「物流コンペ」プロセス自体に問題があったと認めざるを得ない事象です。

物流コンペの正しいプロセスはこちらをご参考ください
http://www.f-logi.com/service/butsuryu-compe.html

委託先との条件面やルールの交渉は、当事者間で行なうよりも第三者が調整を図りながら進める方が、上手く進むと思われます。

市場競争において、同業他社に勝る物流体制の構築こそが、真の目的であり、目指すべきゴールです。

最後に、「物流コンペ成功のキーファクター」は以下の5点です。

(1)現状分析を正しく行ない、課題・問題点を明確にする
(2)あるべき自社の物流体制を策定する
(3)コスト、品質の目標を数値として設定する
(4)最適なプロセスで「物流コンペ」を実行する
(5)目的に向かって、邁進する

物流コンペ成功のキーファクターは今号で終了です。

次回からは新シリーズ、〈「チャイナプラスワン」生産を支えるASEAN物流のあり方〉を連載します。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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