第250回 物流コンペ成功のキーファクター9

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

物流コスト削減施策のひとつであります「物流コンペ」を成功に導くための手法を公開いたします。

物流コンペの手順についてその内容を考察いたします。

(3)第一次説明会の開催

物流コンペに参加いただく全ての物流企業に、同一時間・同一場所へ集まっていただきます。

この方式を一次コンペといいます。

一般的な物流コンペは、参加する企業数が約10社程度となるため、一次と二次の二段方式で進めます。

※規模や業務範囲によっては、三次コンペもありえます。

第一次の説明会は、第一次用物流RFPを配布致します。

提供する情報の偏りを排除するために、合同での説明会が望ましい手法となります。

個別で各社へ物流RFPを渡して、その場で説明を行なうやり方では、説明内容や質問に対する回答に相違が発生する恐れがあり、もっとも危険な手法と考えられます。

一次コンペでは、荷主企業の全ての情報を開示することはあまり行ないません。

第一次用RFPと第二次用RFPを分けて作成する理由は、荷主企業の情報漏洩リスクを最小にするための施策でもあります。

例えば、二次コンペで開示する情報量を100%とすると、一次コンペで開示する情報量は約30%〜50%未満を想定してください。

一次コンペで評価するポイントは以下の6項目です。

これらの項目をひとつひとつ各社の提案書から分析したうえで、定量的及び定性的に評価いたします。

各社の評価を一覧表にして評価報告書を作成します。

上申及び二次コンペへの決定を、上層部及び関係者が合理的に導くことが可能な資料が望まれます。

1.料金水準(コスト評価)

①事前に算出しているコストレンジに収まっているかがポイント
②高くてもダメ、安すぎても問題あり
③算出ロジックが適正であるか、試算精度が適正であるかなどを評価する

2.拠点ロケーション(立地評価)

①自社の拠点として、最適であるか(調達利便及び市場への供給)
②拠点数は適切か(複数拠点の場合)
③物流BCPの視点として最低限の要件は満たしているか(地震・津波リスク)

3.物件概要(物件評価)

①倉庫(物流センター)機能は十分か
②構造に問題はないか(地震リスク)
③職場環境は十分なレベルか(雇用リスク)

4.業務フロー(業務プロセス評価)

①業務プロセスは適正か(作業クオリティー評価)
②ノウハウは十分か(経験値によるクオリティー評価)
③オペレーション能力は十分か(業務プロセスの設計能力評価)

5.情報システム機能(物流情報システム評価)

①必要機能は装備されているか(RFPを十分に理解しているか)
②過度なシステムを想定していないか(過度な装備はコスト増となる)
③設計及び開発時間(コストへの影響)

6.人員及び体制

①業務体制(社員及び非正社員の割合、コストへの影響)
②営業推進体制(全社的なバックアップのある組織か)
③キックオフリスク(立ち上げリスクを十分に考慮されているか)

・・・次号へ続く。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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