第170回 物流アウトソーシングの落とし穴!(3)~組織の壁とルールは不変でない!~

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

■組織の壁

どこの企業にも組織活動を遂行するうえでの、「見えない壁」が立ちはだかります。

この壁は”営業部門と物流部門”や”製造部門と物流部門”などの「部門間の壁」や関東と関西、海外と国内などの「地域の壁」があります社内における壁は組織の一体化を鈍らせ、企業経営を遂行するうえでの阻害要因となります。

物流における多くの課題は、組織内に存在する「見えない壁」を打破することによって解決を図ることが可能であり、壁を残したままでは全体最適と成り得ないことが多々あります。

物流アウトソーシングを実行する場合も、組織内に存在する「見えない壁」を残したままでは、リスクを先送りして懸念を抱いた「不完全業務」の分業となります。

例えば、在庫のコントロールは営業部が業務として実行しているが、「在庫管理」の責任は物流部にある場合など、権限と責任が不一致となり適正な 「在庫管理」は困難な状況だと思われます。

この状態で物流アウトソーシングを実行すると、受託した物流企業に荷主の課題を持ち込むこととなり、「潜在的な課題」を抱えたままリスクの先送りとなります。

■ルールの壁

物流に関係する「ルール/規定」は様々な部門との関わりあいによって策定されています。

「ルール」とは物流部門内だけで取り決めることが可能な「部内ルール」と、他部門との間で取り決められる「社内ルール」があります。

更に、外部企業(主に仕入先や販売先及び物流会社)との取引におけるルールは「契約」または「取引規定」となって明文化します。

ルールは不変ではありません。

物流アウトソーシングを成功に導くには、関係するルールを徹底的に調査し、今後の運用において適正か否かを再検証する必要があります。

特に社内間における各種の業務ルールには、現在では不一致と思える内容が少なくはありません。

過去のビジネス形態において策定された内容や、物量が年々増加することを前提とした成長期に立てられた内容が多く存在します。

特に拡大思考時に考案した「ルール」は、昨今の縮小化時代には異質と思える不合理な内容が含まれます。

物流アウトソーシングを成功に導くには「ルールの壁」を取り除き、部分最適から全体最適へ俯瞰したルール作りが肝要です。

次号に続く。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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