第164回 ロジスティクスとインセンティブ(11)~ゲインシェアの導入事例4~

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

■ゲインシェア・オプションの事例

前号の引き続き・・・『ゲインシェアの設定』

3PL事業者が荷主企業の期待に答える改善を実行するには、既存の枠組みを打ち破り、過去の慣例に捉われない「全体最適」を目指した取組みが必要です。

この取組みとは、荷主企業と3PL事業者双方が同じ目的に対してベクトルを併せ、「情報共有化・コミュニケーション良好化・協業化」『3つの一体化』を図らないとなりません。

SLA(サービス・レベル・アグリーメント)で項目化された全ての事項が「ゲインシェア」となる訳ではありません。

荷主企業が3PL事業者へインセンティブの設定をする場合,新たに創出されたメリットを大きく享受できる事が前提となります。

例えば、「誤出荷率」を題材に考えてみます。

物流センターの使命とは、荷主より出荷指示を受けた商品を正確に時間通りに出荷することです。

間違った商品や数量違いがあることは不完全作業となります。

「不完全作業」の撲滅を目指す行為はプロの3PL事業者としては至極当然のことであります。

荷主企業が自社運営で行っていた「誤出荷率」が100PPMであったものを、3PL事業者が50PPMに改善した場合、ある一定の評価は成されます。

しかし「誤出荷ゼロ」ではないことと、プロの物流事業者として改善を行うことは、当然の行為とみなし、インセンティブを付与する項目としては不適切であります。

インセンティブを付与するには、荷主企業への明確なコントリビューション(貢献)が必須となります。

荷主企業の売上が拡大するか、物流コストが低減するか、その他営業利益に直結するコントリビューションが必要です。

「誤出荷率の低減」は、当然ゼロであるべき出荷作業が、不完全な状態であることを無くす行為であって、「誤出荷率ゼロ」が正しい評価となります。

従って、「ゼロベース」が初めてこの項目の正常な状態であり、ゼロ以上はあってならない作業レベルとして、改善は当然の行為と考えます。

次号に続く。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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