第162回 ロジスティクスとインセンティブ(9)~ゲインシェアの導入事例2~

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

■ゲインシェア・オプションの事例

前号に引き続き、食品卸売業であるA社と先端的な提案営業を行う3PL事業者間で導入・締結した「ゲインシェア・オプション」について、考察します。

本事例は、3PL事業者からの『競争優位なロジスティクス体制構築のご提案』と書かれた企画書最終項に書かれている「ゲインシェア・オプションの導入」という斬新なタイトルが、荷主企業の着目を浴びました。

その提案は荷主企業にとって強烈なインパクトとなり、多くの時を待たずして『物流改革プロジェクト』の発足となりました。

荷主企業でキックオフした『物流改革プロジェクト』は、その開始時点で両社のベクトルが合致した理想的なロードマップを描けることとなりました。

PJ(プロジェクト)メンバーは、荷主企業数名と3PL事業者数名からなる合同プロジェクト形式で、3つのタスクフォースを設けました。

(1)現状把握(課題・問題点抽出)タスク
(2)新ロジスティクス体制構築タスク
(3)ゲインシェア体制構築タスク

この荷主企業A社では、通常の物流改革プロジェクトでは聞き覚えの少ない「ゲインシェア体制構築タスク」という活動を物流改革プロジェクトの最終タスクに設定しました。

現状把握から始まり課題や問題点の抽出を終え、新ロジスティクス体制における戦略策定や物流パートナー企業の選定など費やした期間は6ケ月間です。

そして全ての新ロジスティクス体制に向けた構築が終了した後に、A社と3PL事業者が最も時間を費やしたことが、「ゲインシェア体制構築タスク」だったのです。

次号へ続く。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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