第159回 ロジスティクスとインセンティブ(6)~ゲインシェアとインセンティブ~

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

3PL事業者が荷主へ貢献する最大の効力は、改善活動によるコストダウン成果であり、その配分が荷主へ還元される事であります。

物流事業者が荷主の物流業務を請負契約で受託することは、双方間において「利益相反関係」となります。

荷主企業はコストを少しでも安く押さえるための働き掛けがあり、物流企業はより多くの料金(対価)を収受するために努力します。

高度なロジスティクスの知識を保有し、数多くの経験に基づいた物流事業を営む事が可能な3PL事業者は、荷主企業との「利益相反関係」を『改善』という手法を用いて「利益共同関係」へと変革します。

3PL事業者が『改善活動』を実施して得られた改善額は、荷主企業と3PL事業者間でシェア(分配)されることによって、双方のベクトルが一致します。

通常は、荷主企業が自社の利益増大のためにコスト削減活動を実施します。

物流事業者もまた、自社の利益増大にむけた合理化活動を実施します。

共に自社のためだけに行う活動は、双方間において相反関係となります。

例えば、荷主が指摘した配送ルートの見直しによる減便効果は、そのまま荷主へ還元されます。

物流事業者が請負った作業において、自力改善した業務工程の削減効果は物流事業者が利益として吸収します。

一見当たり前のことと思われますが、このような両社の関係では互いに秘匿性が高まり良好な取引状態は永くは続かないことが容易に想像されます。

物流の改善は、荷主と物流事業者が共に情報を共有し、同じ目的に向かって協力し合える事が最も合理化・効率化される関係と思われます。

その協業によって得られた利益(ゲイン)は、双方が分配(シェア)する関係となって初めて真のパートナーシップが構築されます。

物流改善成果がインセンティブとなって荷主・3PL事業者へ還元されるシクミは『3PLS』の真価であり、今後の”あるべき3PL”と考えれます。

次回は「ゲインシェア」を実施する上での管理項目について考察します。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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