第134回 新型3PL~非物流業の黒船来襲(3)~

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

21世紀物流黒船の事例②

今回は、「eコマース」支援ビジネスを手掛ける企業の3PL戦略についての事例を取り上げます。

当該会社は、小売業向けのASPサービス(インターネットを通じて顧客向けにアプリケーションをレンタルするサービス)を主力事業としていますが、そのサービスラインナップとして以下6項目に分けられます。

(1)eコーマスビジネスの企画立案
(2)eコマースビジネスの設計(システム)
(3)ロジスティクス提供(3PL)
(4)カスタマーケア(コールセンター)
(5)ファイナンス(回収)
(6)コンテンツ作成(スタジオ機能、コンテンツ制作) 

主力商品はeコマース支援ASPシステムの販売(利用)ではありますが、物流の請負(3PL)を主体としたものではなく、「eコマース」全般を支援するフルフィルメントサービスの提供事業となります。

判りやすく表現すると、「ネット通販事業者のWebシステム構築から、コンテンツ作成・物流・決済・カスタマーケア・販売管理支援までを手掛ける総合通販事業者支援サービス」と言えます。

従来のeコマース支援事業者は、Webシステムの構築や販売管理システムなどを、単品で提供しているサービスが大半でした。

当該会社は、eコマースにおける物流請負やスタジオ機能を付加し、これまでの単品サービスから複合・総合サービスへと展開して行きます。

2009年度は6兆円から約7兆円市場へと成長・拡大が見込まれるBtoBの通販市場において、新展開の「黒船」が登場しました。

物流請負の内容も、システム会社らしい先端のWMS(倉庫管理システム)を装備し、20PPM以下という高品質の物流オペレーションを実現しています。

同社によると3PL事業は、単品で提供するサービスではなく、主力サービスを提供する上での、サブメニューとなる訳です。

筆者の「御社は3PL事業者ですか?」との問いに対して、同社幹部の回答は「当社はeコマースにおけるソリューション提供会社です。」とのコメントに静かなる黒船の到来を感じられたものです。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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