第133回 新型3PL~非物流業の黒船来襲(2)~

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

21世紀物流黒船の事例①

今から3年前になりますが、商社系のコールセンター運営会社さんから物流についての相談がありました。

その相談内容は、「顧客の販売する商品の受付業務を行っていますが、配送に関するお問い合わせが意外と多く、苦慮しています。」といったものでした。

コールセンター業務の開始当初は下記5点の内容です。

1)購入希望者からの受注業務
2)商品説明
3)クレームに関する対応業務
4)資料請求に関する対応業務
5)販売データの作成及び販売実績

顧客に変わって、購入希望者からの電話応対を行い、販売データを作成し顧客に送信する事が主な流れとなります。

このコールセンターは、カタログを使った通信販売会社が顧客でありました。

顧客の販売方法も、カタログのみでスタートされ1年後にはWebでも受付が可能となり、受注入力業務は軽減されましたが、Web入力に関するお問い合わせが増え、業務領域は拡大したとの事です。

Webのお問い合わせを受けるとなると、パソコンに関するお問い合わせも含まれ、基礎的なパソコン知識は必須となります。

次に、顧客の販売する商品が多様化し、個人向け100%で始まった販売先に業務用途で購入する法人が加わったそうです。

法人からのお問い合わせ比率が高まったと同時に、商品の配送(納期)に関するお問い合わせも増加したようです。

このコールセンター代行会社では、販売実績を作成し顧客へそのデータを日々送信している訳ですが、お届け情報(配送データ)に関しては、顧客の契約する物流企業(倉庫)へ1日2回送信していました。

配送データを作成し、物流会社へ送信する事は物流会社への出荷指示をしているのと同じ事であり、これは「何かビジネスに繋がるのでは!」との想いで、当社の門を叩いたコールセンター代行会社が「黒船」へと進化しました。

“コールセンター+物流元請”は他のコールセンター請負会社には無い「強み」となり、その後大きく業績を伸ばして行きました。

筆者への相談から約1年間は、じっくりと物流業界や物流に関する知識を勉強したようです。

そして今は、消費者の声に最も近い3PL事業を展開しています。

配送に関するクレームも、自社が運営するコールセンターで対応する訳ですから、ある意味合理的ともいえます。

また、顧客へ配送に関わる煩わしさをさせない事も、大きな強みとなっています。

コールセンター業務を受注する切り口として、物流3PLをメニュー化するこのビジネスモデルは、今度更に拡大していくものと思われます。

コールセンターと3PLの融合、次の進化がさらに期待される「物流黒船」の到来です。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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