物流委託先の評価を正しくできていますか?

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田代 三紀子

船井総研ロジ株式会社 執行役員 兼 コンサルティング本部 副本部長

製造業・小売業を中心とした荷主企業に対して、物流戦略策定の支援を行い、物流拠点の見直し、コスト削減策の提案、物流コンペの支援を数多く行ってきた。また、物流子会社に対しては存在価値、あるべき姿の策定、他社との競争力評価(物流子会社評価)を行っている。得意なカテゴリーは、化学、日用雑貨など。また、物流をテーマにした数少ない女性コンサルタントとして、脱炭素、ESGロジスティクス実行に向けた研修やコンサルティングを行っている。

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荷主企業のみなさんは、自社の物流業務を担う物流企業とどのような関係でいるのでしょうか?

物流企業は「重要なパートナー」

物流企業は、荷主企業の指示に応じて、取り扱い製品を物流センターで入出荷・保管を行い、しかるべき場所にお届けしています。それらを踏まえると、ただの「物流委託先」ではなく、荷主企業の業務の一部を担う、「重要なパートナー」です。

重要なパートナーであるからこそ、物流企業に対して、物流委託の取組状況を評価し、荷主企業主導で物流のレベルアップを図らなければなりません。物流企業を評価する視点として、主に以下の3点があります。

  1. 1.品質(事故発生状況)
  2. 2.サービスレベル遵守率
  3. 3.業務改善への取組

物流企業を評価する3つの視点

1)品質(事故発生状況)

主に、破損、誤出荷等の発生状況の評価になります。単純に発生件数の多い・少ないを評価するのではなく、事故率の高い拠点、運送会社、荷姿(製品)などから、事故発生の本質を見極めることです。

破損に関する対策としては、人の手に触れる回数を減らすことが重要です。大ロットの場合はパレット積みでの出荷、小ロットの場合は外装の見直し(強度アップ)や養生対応をする必要があります。

物流センターを定期的に訪問し、保管状況や入出庫の動線において事故発生のリスクがないかチェックすることも重要です。

2)サービスレベル遵守率

事前に取り決めた物流サービスレベルを遵守できているかどうかを評価します。例えば、納品時間遵守率、1日あたりの入出荷上限数遵守率等があります。

ただし、当初決めた物流サービスレベルは定期的に見直しが必要になります。特に納品時間に関しては、2024年問題の観点から、ドライバーの拘束時間に影響します。これまでは対応できていた納品時間も、物理的に難しくなる可能性もあります。

また、1日あたりの入出荷上限数に関しても同様です。取り扱い荷姿と物量傾向から、上限数の見直しが必要です。これまでパレット単位の入出荷がメインだったが、ケース単位での入出荷の比率が高まれば、入出荷の上限数や管理単位も変わってきます。

物流動向を正確に把握したうえで、サービスレベルの設定を行い、正しく評価をしなければなりません。

3)業務改善への取組

荷主企業から物流企業に対する意見として多くあがるのが、「改善提案が行われない」という声です。業務改善、つまり、コスト削減につながるような取り組みです。

毎月1件提案するように、という荷主企業の指示に対して、物流企業からの提案がなければ、当然評価は×となってしまいます。このような評価軸では、おそらくどの物流企業においても、低い評価となっているはずです。

なぜならば、物流企業が自社の収益が減るような取り組みを進んで提案することはありません。物流企業に対して、「コスト削減策を提案してほしい」といった、一方的な指示をしていませんか?

業務改善をするうえで、物流企業任せにするのではなく、荷主企業自らが、物流の実績データを分析し、社内関係者からの意見を吸い上げて、改善の「ネタ」を見つけ出すことが重要です。その「ネタ」を物流企業へ提案することで、物流企業もゼロベースからの検討より、取り組みの難易度が下がります。

また、荷主企業も一緒になって取り組んでくれているという点で、取り組みの動機付けにつながります。

物流企業に任せきりになっていませんか?

3つの評価についてお伝えしましたが、大事なのは、一方的な評価ではなく、実態を理解したうえでの正しい評価です。改善すべき点は、物流企業任せにせず、荷主企業も一緒に取り組むことが必要です。

物流企業任せにせず、荷主企業で検討することが大事であるとお伝えしましたが、人員不足やノウハウなど、荷主企業だけで改善のポイントを見つけることは容易ではありません。

当社では物流戦略策定サービスとして、物量データの分析、コストレベルの精査から、取り組むべき事項を抽出し、改善に向けたアクションプラン提示までのサービスを提供しております。ぜひ、物流改善にお悩みの方は、当社へお問合せください。

物流アウトソーシングに欠かせない物流SLA

量的な改善を荷主・3PL・オペレーターを交えて行うために必須の指標に物流SLA(サービスレベルアグリーメント)というものがあります。これは、荷主企業と物流委託先との間の業務革新の共通指標となるものです。

どのような内容の物流SLAを締結し、両者間で良好なパートナーシップを構築すればよいのか解説します。

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概要
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詳細
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田代 三紀子

船井総研ロジ株式会社 執行役員 兼 コンサルティング本部 副本部長

製造業・小売業を中心とした荷主企業に対して、物流戦略策定の支援を行い、物流拠点の見直し、コスト削減策の提案、物流コンペの支援を数多く行ってきた。また、物流子会社に対しては存在価値、あるべき姿の策定、他社との競争力評価(物流子会社評価)を行っている。得意なカテゴリーは、化学、日用雑貨など。また、物流をテーマにした数少ない女性コンサルタントとして、脱炭素、ESGロジスティクス実行に向けた研修やコンサルティングを行っている。

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