物流センターの生産性向上のカギは、業務内容に適したマテハンの選定

船井総研ロジ

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物流センター・倉庫の運営において、「生産性をどうやって向上するか?」「物流センター設計の中で、どのマテハンが、自社センターの業務内容や取り扱う商品の特性に合致しているか?」この2点は大きな課題です。

マテハン導入の失敗事例

ここ最近、マテハン導入の失敗事例をよく耳にすることが多くなりました。とくに「導入したが、現在は使われていない」「導入前の作業員中心の業務フローの方が速い」といった声が意外にも多くあります。

コロナの影響で販売チャネルの変化が加速し、業務内容が大きく変化する中で、自社センターにマッチしたマテハンをいかに使い分けるか生産性向上・品質維持のカギを握ります。

失敗の理由は?

出荷条件が変化していないのにも関わらず、想定していた生産性が得られていない場合、その要因はどこにあるのでしょうか。それは、マテハンのメリットにのみに注目し、デメリットや導入時の注意すべきポイントを充分理解せず業務設計していることが考えられます。前述の通り、マテハンの導入においては、自社センターの業務内容・取り扱う商品の特性を知ったうえで、生産性が最大化できるように設計しなければなりません。

まずは課題を整理する

今回は、マテハンの中でも、ピッキングの生産性向上・品質維持を実現するDAS・DPSを例に、導入時によく発生する問題点・留意点について、解説していきます。

まずは、現在のピッキング方式の見直しからです。現在のピッキング方式が出荷頻度、1日の出荷量、アイテム数、商品特性にマッチしてなければ、DPS・DASのようなピッキング・仕分けシステムを導入しても、費用対効果は得られません。出荷内容を詳細に分析し、作業効率を最大化する機器選定と使い方の設定に反映することが重要です。

例えば、高額品を取り扱うセンターでは、ピッキング後に必ず、出荷検品を実施します。こういったセンターの場合、ポカヨケ機能の付いたDPS・DASを導入することで、出荷検品の必要がなくなり、出荷検品にかかるコスト削減につながります。

マテハン導入時の倉庫レイアウト設計

DPS・DASのレイアウトはリストやハンディターミナルによるピッキングと同様に考えてはいけません。リストやハンディターミナルを活用したピッキングの場合、追い越し(ピッキング順序の変更)ができるため、「滞留」「待ち」が発生しません。しかし、DPS・DASは基本、追い越しができないため、なるべくピッキングの作業動線を短くする必要があります。

さらに、各ブロックのヒット率(デジタル表示機が光る数)を平均化できるレイアウトにしないと、一か所に人が固まり「滞留」「待ち」が発生してしまいます。

ブロック分割

レイアウトが決まれば、ブロック分割について検討する必要があります。ブロック分割とは、移動時間を短縮するため、ピッキングエリアを複数のブロックに分け、コンベアシステム等とリレーをしてピッキング効率のアップを目指すことを意味します。ブロック分割の設計については、ピッキング棚の間口にデジタル表示器を設置し、作業人数やピッキングする距離を考慮した上、ブロック毎に機器(店番表示器や完了表示器)を設置します。コンベヤを設置してコンテナを流しながらリレーしていくのが一般的です。各ブロックに作業員が固定で張り付き、デジタル表示器に表示された数量のみをピッキングして、コンテナを次のブロックにリレーしていきます。

ブロック分割することによって以下のような効果が得られます。

・容積計算等でコンテナ数を算出することによって、スタート地点でコンテナをセットできるので、ピッキング中のコンテナ補充が無くなる

・スタートブロックやエンドブロックで、DPS・DASと連動して出荷先ラベル発行が可能になる

・ピッキングした商品をDPS連動固定スキャナーでスキャン検品してコンテナ投入することができる

・コンベヤ制御により、メインコンベヤラインよりヒットしているブロックのみに分岐させたり、ピッキングが終了したコンテナを排出コンベヤに流すなど、生産性を上げるためのライン構成が可能となる

ABC分析

最後に、商品と納品先別のABC分析を行います。DPSの場合は出荷データを分析して、Aランク商品を各ブロックのピッキングしやすい位置に均等に配置するなど、複数のシステムを組み合わせることも検討する必要があります。例えば、AとBランク商品のピッキングにはDPSを利用し、Cランク商品のピッキングにはリストまたはハンディターミナルを利用することで、効率が良くなる場合があります。

さいごに

今回は「導入したけれど、思ったような効果が出なかった」「導入前のリストによるピッキング・仕分け作業の方が速かった」といったの失敗を防ぐ手法について、DAS・DPSの事例を中心に紹介しました。

どんなに緻密な設計を行なっていても、自社センターにマッチしてないマテハンを選んでしまうと、リカバリーまでにかなりの時間と労力を要します。

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