月平均所定労働時間は、173.8時間以内になっていますか?

Pen Iconこの記事の執筆者

三村 信明

船井総研ロジ株式会社 物流ビジネスコンサルティング部 
チームリーダー チーフコンサルタント

1978年生まれ。専門商社、大手経営コンサルティング会社を経て、2011年、船井総合研究所に入社。入社後は、生産財分野(製造業、建築資材メーカー、生産財商社など)、物流会社・運送会社を中心にコンサルティングを手がける。2018年7月より、船井総研ロジ株式会社に異動( 2019年1月転籍)。運送会社・物流会社に特化して、人事制度の構築・運用支援、組織戦略立案を行っている。

≫ 物流企業向け経営コンサルティングについて、くわしく知りたい方はコチラ

物流の2024年問題とは?具体的な影響から対応策まで解説

2024年問題(2024年4月1日から施行されるドライバーの総残業規制による諸問題)を前に、物流業界の働き方改革への関心が急速に高まっています。

長時間労働にともなう健康被害や過労死の問題がニュースで取り上げられ、労働環境の適正化を求める声が増える一方、「(労働時間を減らすことで)給与が減るのは困る」といった主張の労働者も一定数おり、経営者を悩ませています。

本コラムでは、労働時間算定時に役立つ専門的な知識と用語について、くわしく解説します。

月平均所定労働時間とは?

所定労働時間

所定労働時間とは、会社が定めた労働時間のことです。例えば、1日の所定労働時間が8時間、年間休日105日の会社の場合、年間の所定労働時間は2,080時間です。

  • ・年間所定労働時間=(365日−105日)×8時間=2,080時間

となります。

月平均所定労働時間

月平均所定労働時間とは、年間所定労働時間を12か月で割った、1か月あたりの平均の所定労働時間のことです。先ほど同様、1日の所定労働時間が8時間、年間休日105日の会社の場合、月平均所定労働時間は約173時間です。

  • ・月平均所定労働時間=2,080時間÷12か月=約173時間

そして、この「月平均所定労働時間」は割増賃金(残業代)を計算する際に使用されます。

  • ・時間外割増賃金=基準内賃金÷月平均所定労働時間×1.25×時間外労働時間
  • ・深夜割増賃金=基準内賃金÷月平均所定労働時間×0.25×深夜労働時間
  • ・休日割増賃金=基準内賃金÷月平均所定労働時間×1.35×休日労働時間

月によって、31日、30日、28日といったように日数が異なるため、各月の残業代の計算方法がばらつくのを防ぐため、「月平均」という考え方をします。

基準内賃金、割増率、時間外労働時間が同じ場合、残業代(残業1時間あたりの単価)は月平均所定労働時間が多い会社ほど少なくなり、月平均所定労働時間が少ない会社ほど、多くなります。


輸配送・拠点・倉庫作業の転換は2025年に本格化する!

≫ 資料をダウンロードする(無料)

月平均所定労働時間は173.8時間以内に

所定労働時間は、法定労働時間の範囲内でなければならず、月平均所定労働時間として173.8時間を超えている場合、法律に違反していることになります。

労働基準法では、法定労働時間は1日8時間、1週40時間以内と定められています。

  • ・月平均所定労働時間=40時間÷7日×365日÷12ヶ月=173.8時間

月平均所定労働時間が173.8時間を超えている=1週40時間を超えていることになるため、注意が必要です。もし、超えている場合、173.8時間以下の所定労働時間にする必要があり、超過時間は時間外労働時間として扱わなければならず、割増賃金(残業代)発生の対象となります。

割増賃金(残業代)未払いの是正

厚生労働省は毎年、「監督指導による賃金不払残業の是正結果」を公表しています。

監督指導による賃金不払残業の是正結果(令和2年度)|船井総研ロジ

是正企業数、対象労働者数、支払われた割増賃金の合計額は、いずれも前年よりも大きく減少し、また過去10年間でもっとも少なくなりました。コロナ禍による経済の停滞もありますが、2019年から適用が始まっている働き方改革が徐々に浸透しているとみられています。

おすすめ情報

労務倒産に備えるこれからの運送業の人事制度|船井総研ロジ株式会社

資料DL/労務倒産に備えるこれから運送業の人事制度

概要
賃金体系見直しのポイントを解説。評価制度で社員のモチベーションを上げる方法やホワイト経営の「見える化」の進め方をお伝えします。
詳細
https://logiiiii.f-logi.com/documents/text/personnelsystem202004/
月平均所定労働時間は、173.8時間以内になっていますか?

資料DL/2024年問題とは?物流企業の人事制度のあり方~

概要
迫る2024年問題。時間外労働の上限規制(960時間)適用が運送・物流企業に与える影響とは?直面する人事労務の課題とその対策を解説。
詳細
https://logiiiii.f-logi.com/documents/text/jinjiseido-for-2024/

Pen Iconこの記事の執筆者

三村 信明

船井総研ロジ株式会社 物流ビジネスコンサルティング部 
チームリーダー チーフコンサルタント

1978年生まれ。専門商社、大手経営コンサルティング会社を経て、2011年、船井総合研究所に入社。入社後は、生産財分野(製造業、建築資材メーカー、生産財商社など)、物流会社・運送会社を中心にコンサルティングを手がける。2018年7月より、船井総研ロジ株式会社に異動( 2019年1月転籍)。運送会社・物流会社に特化して、人事制度の構築・運用支援、組織戦略立案を行っている。

≫ 物流企業向け経営コンサルティングについて、くわしく知りたい方はコチラ

その他の記事を読むArrow Icon

人気の記事

ページの先頭へ