第71回 失敗しない為のアウトソーシング(5)

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

今回は、「初期段階における不具合型」で想定される荷主側の『リスク』 について考えてみます。

荷主が想定しておく初期段階におけるリスクとは、契約〜キックオフ間を 指すものです。

荷主サイドにおいても、しっかりとリスクの抽出を行いその回避策を想定しておくべきでしょう。

(1)契約書の内容について不備がないか
(2)キックオフまでのスケジュールについて無理がないか
(3)スケジュールの内容について欠けているものはないか
(4)情報システムにおける不備がないか
(5)移管に向けての在庫調整における不備がないか  

これら5項目を大項目として、更に各項目を細分化していく必要があります。

(1)の契約書については、とくに解約条項や解約に関わる箇所を注意して物流企業と話し合っておく必要があります。

基本契約が終了して、円満に解約される場合と、何らかの事情により止む無く両社が分かれる事も想定されます。

(2)のスケジュールに関しては、日程・時間に無理はないのか?予備日な どは用意できているかなどを、注視しておくべきでしょう。

(3)のスケジュール内容については、引継ぎに関わる「研修」や各種の 「マニュアル作成」などが、綿密にされているかがポイントとも言えます。

特に、事務や業務の研修にどのくらいの時間や人員を考えているかは、業務を混乱させないための重要なリスク回避策となります。

(4)情報システムにおけるリスクは細微に至るところまで、想定を行いその回避策や代替策を考案しておくべきでしょう。

特に、システムありきの倉庫オペレーションは、大きな問題があります。

まずは、手動で動くオペレー ションを構築し、その上で情報システムや物流ITの構築を考えるべきです。

(5)在庫の調整については、最も荷主サイドが熟慮すべき点です。

特に、 移管前後の発注数量や発注点の管理は、綿密に販売部門と調整を図り、欠品や過剰在庫を出さない事が肝要です。

あらゆる点において、物流企業と情報を開示しながら最良のキックオフ・ プランを考案する事が、荷主のリスク回避策となります。    

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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