第279回 ドライバー不足時代の物流会社経営(1)

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

早いもので、もう2015年度の第三クール(cours:フランス語)に突入しました。

「年末繁忙期」と表現した10月、11月、12月も、以前のように潮目が変わる程の物量増加が見られなくなりました。

年末に向かっての緩やかな上昇と、12月第二週から始まる最繁忙期が業界に定着しつつあります。

物流業界においては、運賃値上げ基調から一転して物量確保へ動いている様子も
見受けられます。

燃料価格が底値で安定していることにより、ドライバー不足時代においてこのような現象が起きていると思われます。

ところで、「ドライバー不足問題は解決するのでしょうか?」

よくこの質問を荷主企業から聞かれます。

答えは、今のところ「No」ですね。

なぜ「No」なのかと言うと、問題を解決するには“問題”とならない本来のあるべき姿と現状のギャップを明確に把握し、そのギャップを埋める努力が必要です。

しかし、行政や業界が志向する努力方向は明確に定まらず、まだまだ戸惑っているようにうかがえます。

では、ドライバーが不足している本質的な問題を少し深堀してみます。

ドライバー不足が発生しない運送会社から見た『あるべき姿』とは、いったいどういう状況であれば良いのでしょうか?

■ドライバー不足とならない状況

・求人倍率が1倍を切り、世の中に求職者が溢れている
・ドライバー職は高給である
・ドライバー職は学生や転職者にとって人気の職業である
・ドライバー職へ就職するための難易度は低い(資格や経験など)
・ドライバーは女性や高齢者も就業可能である

これら5項目は矛盾も含まれていますが、運送会社から見た『あるべき姿』(環境)となります。

現状と上記5項目全てのギャップを埋めることは到底無理(大半は外部環境だから)かも知れませんが、自社で取り組みが可能なものもあります。

それは、女性や高齢者も就業可能な状態を作り出すこと。

そして、働きがいのある職場づくりを実現することです。

職業の多様化が進み、トラックドライバーの魅力度は低空飛行状態です。

以前の「稼げる仕事」から、規則や制約に妨げられ「それほど稼げない職種」へと変貌しています。

ドライバー職の魅力度アップと、待遇改善は喫緊の課題です。

次回はドライバー不足が発生していない中小企業の事例をご紹介します。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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