第214回 ポスト3PLの時代(12)

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

前号に続き、Web通信販売企業A氏から相談された「物流コンペ」の模様を紹介します。

なぜ物流センターの契約を、物流業務を委託する元請物流企業と行わないのか?
普通に判断すると、業務を担う物流会社が物流センターを提供するべきであり、荷主が別個に物件を探したり、直接契約を行うことは不合理ではないのか。

A氏が考える最良の方策は、

(1)物流企業が保有する物流センターを利用し、業務委託とセットにす
(2)業務請負を行う物流企業が物件を借りるなどして用意する

物流オペレーション(物流作業)と物流センターは一体型であり、この手法が3PLではないのか?

併せて顧客への配送を行う宅配会社との契約も、元請物流会社経由とすることこそ今はやりの3PLだと認識している。

物流センターで利用するWMS(倉庫管理システム)などの物流情報システムや
物流センターで利用するマテハン機器なども、全て元請物流会社へ一任することが3PLである。

A氏自身もそう思っており、提案にきた物流企業の営業担当者も、「全て当社へお任せください。

当社の3PLで一括してお請けいたします」「当社の提供する3PLは、お客様の物流業務を全て引き受けます。

倉庫もシステムもマテハン機器も当社が一括で提供いたします」などと各社は同じような内容を言っていた。

コンサルタントB氏は、「そうですね、間違っているとは思いません。しかし、A氏や御社へ提案に来られた物流企業の営業担当者の方が仰っていることは、【日本型3PL】ですね」。

なになに・・・「日本型3PL???」・・・。

A氏はまたもや、聞きなれない言葉を耳にした。

皆が言っている「3PL」とコンサルタントB氏が口にした「日本型3PL」、いったい何がどう違うのか、よく理解できない。

コンサルタントB氏から、「顧客の立場になって、最良な且つ最高のロジスティクス・サービスを提供する第三者の存在が3PLです。

3PLの定義で最も重要なのは、顧客の利益を追求すること。

また、顧客の利益と3PL企業の利益が同一方向でなくてはなりません」A氏は、「そんなことは解っていますよ。

今回ご提案のあった物流企業さんは、皆が改善提案やコストダウンをやりますよ!とプレゼンしていました!」

またしてもコンサルタントB氏から、突拍子もないことを言われた。

「本当に、そう思いますか?

一般的な業務委託(請負)契約では、双方の関係は利益相反となってしまいます。

その契約形態で、物流会社が自社の利益を削ってまで、御社へ有利な提案があると思いますか?・・・」

次号に続く…。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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