第121回 外販を止める物流子会社の行方 その1

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

昨年もしくは一昨年から、物流子会社の動向に大きな変化を感じられます。

1990年代後半から、親会社の物流受託をベースした外販獲得路線が、多くの物流子会社戦略でありました。

物流子会社がなぜ外販(親会社以外の物流業務受託取引)を拡大させるようになったかは、以下の理由が主なものと思われます。

<1> 親会社の意向により、脱・機能分担会社を求められた。
<2> 親会社の意向により、自立・自主運営を求められた。
<3> 親会社の意向により、コストダウンを求められ、一般顧客との取引によって創出される利益を求めた。
<4> 親会社の意向により、利益の最大化を求められ、外販による利益創出を自社戦略とした。
<5> 親会社の戦略により、親会社の物流を必ず受託できる環境でなくなり、外販による成長を自社戦略とした。

このように、外圧(親会社の意向)による動機と自らが自立を望んだ経営戦略とが、多くの物流子会社にもたらした外販獲得思想となったものと思われます。

しかし、そういった主流的な動きに逆行して、大手メーカー系の物流子会社による「外販停止」の動きが少しずつではあるが広がっていると思われます。

この景気後退の局面で、なぜ外販活動を停止するのでしょうか?

親会社の物量逓減も予測される中、外販活動をもっと積極的に取組んで、より多くの物量と利益を求める事が、物流子会社の使命でもあり生き残り策であると一般的には思われています。

親会社物流を担う事によって培った豊富なノウハウと、物量の核となる親会社のベースカーゴを持って外販活動に望めば、その合理性や柔軟性などは、多くの一般顧客から支持されるに値する物流サービスであったと思われます。

次号は「外販停止に至ったコンプライアンスの壁」をお送りします。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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