物流業界におけるESGへの取り組みとは?~企業価値の創造に向けたESG具体策について~

井上真希

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井上 真希

船井総研ロジ株式会社 ロジスティクスコンサルティング部
チームリーダー チーフコンサルタント

製造業・小売業・ECを中心とした荷主企業に対して、物流倉庫の改善提案・在庫の適正化・管理の提案を行っている。また、物流子会社の評価や在庫管理・分析を得意とし、分析を軸にした物流改善にも従事。近年は、サステナビリティ・ESG領域における専門的な物流コンサルティングにも取り組んでいる。​

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物流環境の変化に対応できているか

物流を取り巻く環境が変化している中、物流に求められる役割は、商品を保管し配送するだけではなく、物流の効率化と環境負荷低減への取り組みなど、求められる役割は根底から変わりつつあります。「持続可能な開発目標(SDGs)」や、「ESG(Environment、Social、Governance)」 といった言葉が注目を集めている通り、企業は社会的な責任を負っています。
その一方で、環境負荷低減への取り組みと物流コスト削減を両立させることが難しく、戦略策定・実行にあたっては、なかなか進んでいないのが実態ではないでしょうか。

物流業界が抱える課題に対して、以下の取り組みが求められています。

効率的な物流 (ドライバー不足の解消、積載率向上など)
安心安全な物流(労働時間の適正化、安全な荷役作業、輸送品質の向上など)
持続可能な社会の実現(環境負荷低減、高品質且つ利便性の高い物流など)

自社の物流戦略のプロセスにSDGs達成の考え方を取り入れることで、環境・社会への貢献だけではなく、ESG投資の観点からも長期的な視野での効果が得られる可能性が高いと考えられます。自社の物流機能をESGの軸に置き換えて考え、長期的な視点で物流戦略の根幹の部分から取り組んでいくことで、得られる包括的な評価や効果は大きいのではないでしょうか。環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する物流施策を確立し、「持続可能な物流」を実現する必要があります。

物流におけるESGの具体策についてご紹介いたします。

物流におけるESGの具体策

運輸部⾨は、CO2排出量が多い部門の一つでもあります。運輸部門に含まれる物流会社としては、「環境」に配慮した事業成⻑を果たさなくてはなりません。
その一つの取り組みとして、CO2排出量の少ない輸送手段への切り替えです。トラック輸送から船舶、鉄道輸送にシフトすることで、CO2削減に大きく寄与します。

輸送機関別の CO2 排出量原単位は以下の通りです。
・営業用貨物車:240g-CO2/トンキロ
・船舶:39g-CO2/トンキロ
・鉄道:21g-CO2/トンキロ

輸送機関別のCO2排出量のイメージを図に表しました。(図表1-1、1-2)

輸送機関別のCO2排出量のイメージ
出典:国⼟交通省ホームページ「運輸部⾨における⼆酸化炭素排出量」より船井総研ロジ作成

ESGに取り組むことで、投資家からはESG投資を募ることができます。ESGは企業が経営を進めるうえで重視される要素であり、ESGに取り組むことで、結果的にSDGsの達成につながります。
ESGの取り組みと関連するSDGs目標と物流施策は以下の通りです。(図表2)

図表2
図表2 船井総研ロジ作成

ESGの「E」

施設照明のLED化、環境に配慮した拠点配置、環境配慮⾞両への切替え、モーダルシフト・共同配送の推進、ラウンド輸送、反復資材の利用、簡易資材、プラスチックフリー資材の利用

ESGの「S」

ダイバーシティの推進、ワークスタイルのイノベーション、災害時指定公共機関、雇用や社会課題解決を通じた地域社会への貢献など

ESGの「G」

安全・コンプライアンス・品質の徹底、情報開示など

例えば、モーダルシフトはCO2排出量の削減のための手段だけでなく、トラックドライバー不⾜の対策や感染症・自然災害等による物流⼨断に対するBCPとしても注目が高まっています。トラック輸送は交通事故などのリスクが高いが、鉄道輸送は危険品など安全性が求められる貨物の輸送に最適であり、交通事故リスクの軽減に繋がります。

2024年4月には時間外労働の上限規制が設けられることから、長時間労働の是正をはじめ、働き方改革への取り組みも欠かせません。2024年4月以降も安定的且つ持続的な物流インフラを維持する必要があります。まずは、自社の物流実態を把握し、実行可能なESGロジスティクスの「取り組み」を明確にする必要があります。
環境負荷低減への取り組みや、時間に関わる業務の環境整備に努めていくことが、企業価値の向上ひいては選ばれる企業となっていくのではないでしょうか。

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