持続可能なESGロジスティクス 最新更新日:2021.11.12

グリーン物流とは~今、注目される理由・実践の具体策・取り組み事例~

「グリーン物流」とは

グリーン物流とは、地球温暖化対策や資源を有効利用することを目的とした「地球に優しい物流」を指します。
環境問題への対応は物流業者だけでなく、荷主企業などの物流に関係する企業も含め、連携・協働して取り組むべき重要な課題です。

物流で排出されるCO2を減らすため、トラックや貨物機による輸送を貨物列車・貨物船に切り替える「モーダルシフト」、アイドリングストップを含むエコドライブ、天然ガス車などの低公害車の普及などが行われています。
また、走行距離そのものを削減するために、ミルクランなど輸送ネットワーク・サプライチェーンの効率化の取り組みも行われています。
さらに、ケースの小型化・多段積みなど積載率を向上させて単位あたりの効率を上げる試みも行われています。

誕生した背景

2005年に物流総合効率化法が施行され、物流施設の立地制限緩和や税軽減措置が新設されました。

2006年の省エネ法改正で、年間輸送量が3000万tkm以上の特定荷主とトラック200台以上・鉄道300両以上などの輸送能力を持つ特定輸送事業者に対し、省エネルギー計画の作成・提出、エネルギー消費量の報告、年1%以上のエネルギー消費原単位向上が義務づけられたことが契機となり、物流の効率化およびグリーン化が進みました。

注目を集める「グリーン物流」

環境問題への対応として注目を集めているのが「グリーン物流」です。企業がグリーン物流に取り組み始めた背景には、温室効果ガス(二酸化炭素(CO₂)など)の増加による地球温暖化が挙げられます。温室効果ガスの約9割を占めるCO2の削減が不可欠です。近年は総じて減少傾向にあるものの、運輸部門のCO2削減ペースは他部門に比べて遅れています。(図表1-1、1-2)

図表1-1:日本の各部門におけるCO2排出量
図表1-1
図表1-2:運輸部門における二酸化炭素排出量
図表1-2

その背景にはEC 市場の拡大に伴う積載効率の低下などがあり、多頻度小口化への対応が求められています。(図表1-3)

図表1-3:国内貨物輸送量の推移
図表1-3 出所:国土交通省
※国内貨物輸送量(トンベース)の推移を見ると1997年から2018年まで輸送量は減少傾向である。その要因の一つとして挙げられるのは、EC市場拡大に伴う宅配便取扱個数の急増と企業間取引での多頻度小口輸送の増加である。

これまで国連を中心にCO₂削減に向けた世界規模の協議が重ねられてきました。 その中で日本は、温室効果ガスを2012年までに1990年に比べて6%減らすことを諸外国に対して約束し、 京都議定書が発効されました。
また、2015年からフランス(パリ)で開催された第21回国連気候変動枠組締約国会議では、 2020年以降の温暖化対策の国際的な枠組みとして「パリ協定」が正式に採択されました。 このパリ協定は1997年に策定された「京都議定書」と同じく法的拘束力を持つ強い協定として合意され、 すべての国が2020年以降の温室効果ガスの削減目標を作り、5年ごとに見直すことが義務付けられました。 日本では、「2030年度までに2013年度比で26%削減する」という目標が掲げられています。

グリーン物流実践の具体策

日本企業の多くは、地球温暖化対策に向けた取り組みに対して、コストがかかることに注意している傾向にありますが、「グリーン物流」の取り組みによって、結果的に様々なムダを省くことができ、効率化の新たな切り口としてコスト削減に繋がることもあります。
グリーン物流を推進する上では、まず積載率、燃料使用量、走行距離などの「見える化」が重要なポイントとなります。物流におけるCO2削減量を把握するためには、燃料使用量、走行距離や燃費などの走行データの収集が必要となります。
これらのデータから課題を抽出することで、それまでのムダな作業やコストを削減できるようになるからです。

物流企業のCO2削減に繋がる次の5つのグリーン物流実践方策があります。

(1)燃費改善

エコドライブ推進、エコタイヤの利用モーダルシフト(船、鉄道利用)

(2)積載率向上

物量波動への対応、物流ロットの見直し、製品サイズの見直し

(3)輸送距離の短縮

拠点配置の見直し、輸送計画の見直し、帰り便の利用

(4)3R

包装資材そのものの重量を削減、環境負荷の小さい素材を使用、同業他社と規格を統一したリユース・リサイクル可能な包装にシフト

(5)仕様の見直し

包装資材の省略、設計条件の見直し、輸送条件の見直し

グリーン物流パートナーシップ会議とは~グリーン物流取り組み事例~

物流分野の地球温暖化対策を成功させるためには、企業が単独の事業活動として取り組むだけでなく、荷主企業と物流企業が連携・協働し、単独型では実現できないようなグリーン物流を進めていく必要があります。
こうした連携を深める場として経済産業省、国土交通省、公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会、公益社団法人日本物流団体連合会、公益社団法人日本経済団体連合会が連携して、2005年に「グリーン物流パートナーシップ会議」が発足しました。現在では3,300社を超える企業等が会員登録をしています(令和3年1月時点)。

物流分野における環境負荷低減とともに、物流の生産性向上や構造改革に向けた「持続可能な物流体系の構築」に際し、これまでのグリーン物流優良事業者の事例を紹介します。

(1)スワップボディを活用した共同輸送事業

企業名

株式会社ホームロジスティクス、ユニ・チャームプロダクツ株式会社、トランコム株式会社

効果

・CO₂排出削減量:880.4t-CO₂/年(38.6%)削減
・生産性向上効果:運行台数2,490台(50%)削減
・ドライバー積降時間削減効果 :12,450h/年削減

(2)異業種メーカー3社の協同連携輸送による環境負荷低減~高積載スワップボディ車を活用したラウンド輸送~

企業名

ライオン株式会社、 モンデリーズ・ジャパン株式会社、株式会社Jーオイルミルズ、鈴与株式会社

効果

・CO2排出削減量 267.7トン/年
・CO2排出削減率 62.0 %

などです。

グリーン物流を切り口とする企業戦略

企業で持続性のある地球温暖化対策を行なうには、その対策に対し、何らかのメリットとして荷主企業、物流企業に返ってくることが重要です。
単独型又は連携型による企業活動と地球温暖化対策がリンクすることで、持続性のある活動ができるようになります。グリーン物流を起点にしたブランド価値の向上や他社との差別化などにより、新たなビジネスを生み出すことも可能です。
物流における環境問題にあまり関心を持っていなかった企業も多いかもしれないが、企業の社会的責任が重視されるようになった今、グリーン物流を切り口とする企業戦略を立てていく必要があります。

物流業界全体のサステナビリティ活動として、政府が進めているのが「グリーン物流」や「ホワイト物流」です。
今後はサステナビリティという視点を更に強化し、環境に配慮した物流の拠点配置や働き方改革の推進、「グリーン物流」、「ホワイト物流」への対応など、物流サービスの提供を通じたSDGsやESGなどの社会課題の解決に取り組むことが企業に求められています。

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船井総研ロジ

Pen Iconこの記事の執筆者

井上 真希

船井総研ロジ株式会社 コンサルタント

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