中国ECロジスティクス最前線 2021.02.03

拼多多(Pinduoduo)とJT Express:TmallとJD.comを猛追する中国・No.1の共同購買型ECとそれを支える物流新鋭企業

今回は、中国EC市場でアリババのTモール(Tmall)京東のJDドットコム(JD.com)を猛追する「拼多多(Pinduoduo)」の成功秘密とその物流を支える物流会社の「J&T Express」について考察します。

拼多多(Pinduoduo)とは?

 拼多多(Pinduoduo)は、日本語で「ピンドゥオドゥオ」と呼ばれる中国最大の共同購買型ECサイトです。中国B2Cネット通販市場では、「アリババ系Tモールが1位、JDドットコムが2位」が常識ですが、その常識を破ろうとする中国のEコマースの最強新勢力が、この拼多多です。

 実は、拼多多は2020年の年間アクティブユーザー数でJDドットコムを抜いて業界2位になっています。中国ネット通販の最大手であるTモール、JDドットコム、そして拼多多の最新データを比較すると、Tモールの年間アクティブユーザー数が7億5700万人で1位、拼多多が7億3130万人で2位、JDドットコムが4億4160万人で3位という結果でした。拼多多は第三のプラットフォームとして中国EC市場に確実に浸透しました。

 Tモールの年間アクティブユーザー数が7億5700万人で1位、拼多多が7億3130万人で2位、JDドットコムが4億4160万人で3位という結果でした。拼多多は第三のプラットフォームとして中国EC市場に確実に浸透しました。

拼多多、成功の秘密

 拼多多は、2015年9月に創業されたばかりの新参企業ですが、2018年7月に上海とニューヨークで同時に上場を果たしました。それができた一番の要因は、創業者の黄氏が提唱したアリババ系のプラットフォーム属性とテンセントのゲーム・ソーシャル特徴を融合させたビジネスモデルが完成したからというのが、私の考察です。

 具体的にみると、拼多多は以下、3つの点でTモールとJDドットコムを猛追しています。

購入プロセス

 拼多多では、知り合い(共同購入者)を集めれば集めるほど価格が安くなるルールを設定していますので、消費者は更に安く買えるためにSNSで指定された人数の友人や家族を巻き込むことを狙っています。こういた「共同購入」機能の使用でユーザー数は倍増するだけではなく、ユーザーがゲーム感覚で賛同者を集めることができ、購入プロセスそのものを楽しめる仕組みとなっています。拼多多は消費者視点でも差別化されたECプラットフォームといえます。

購入チャネル

 拼多多は、2018年にテンセントの投資を受けてからWeChatとの提携を始めました。アリババ系のオンラインショップは原則、ライバルであるテンセントのWeChatでは共有できないので、写真付きのURLが共有できる拼多多はより多くのWeChatユーザーに愛用されています。現在全世界でWeChatのMAU(月間アクティブユーザー数)は12億人を超えたので、拼多多のユーザー数の増加にも追い風として働いています。

取扱商品

 拼多多は、キッチングッズや収納・お掃除用品、生活雑貨、文房具・事務用品など百円ショップや雑貨スーパーによくあるものをメインに販売しております。こういた生活必須品を驚異的な低価格で販売しているからこそ、TモールやJDドットコムが積極的にアプローチしていない地方都市の農村部や低所得者に認められ、市場占有率をあげたのです。

止まらない拼多多の勢い

 2020年10月、拼多多は単日のピーク注文量が1億件を突破し、1日あたりの平均受注件数が7000万件を超えたと公表しました。それを受けて、ゴールドマンサックス社は拼多多の宅配取扱個数は2021年までに中国宅配取扱個数の3分の1に達すると予測しました。2020年の中国宅配取扱個数が500億個を突破したので、拼多多がさらに中国のEC市場を成長させることを世界の投資家は楽しみにしています。

 拼多多はTモール(菜烏網絡)やJDドットコム(京東物流)のように成熟な物流ネットワークを持っていませんでした。そこで、拼多多は2020年3月からインドネシアの宅配最大手J&T Expressと連携し物流の仕組を構築しています。

J&T Expressとは?

 J&T Expressは中国出身の李氏が2015年8月にインドネシアで設立した宅配会社です。設立してわずか2年の2017年11月に、1日の宅配取扱個数がインドネシアで30万件を突破し、インドネシア第2位の宅配企業となりました。

 2020年3月に、J&T Expressは中国宅配市場に本格的に進出することを決定しました。中国の宅配市場はネット販売の発達によりすでに成熟し始めていますが、J&T Expressは2ヶ月間で1日の取扱量を100万個越え達成しました。そして2020年9月に中国すべての都市を全部カバーする巨大宅配会社にまで成長しました。

 J&T Expressは中国巨大市場にも地位を確立できたことで、アジア主要国(インドネシア、ベトナム、マレーシア、フィリピン、タイ、シンガポール、カンボジア、中国)に対して物流面で大きな影響力を持つ企業として君臨し、世界が注目しています。

J&T Expressの急成長の舞台裏

 最新情報によると、J&T Expressは2021年2月から拼多多の80%のオーダーを請け負い、1日あたりの受注量が2000万個を超える見込みです。間違いなくJ&T Expressの急成長は拼多多から巨大な物量を与えられたことに起因します。

 実はJ&T Expressの創業者李氏も、拼多多の創業者黄氏も、電子機器メーカー「歩歩高(BBK)」創業者段永平氏の門下生です。当時から、J&T Expressは拼多多と親兄弟のような良い関係を築いていたので、提携当初から拼多多の宅配依頼を多く受けることができました。それが、J&T Expressの急成長の背景です。

急拡大するJ&T Expressへの抵抗

 J&T Expressの躍進まで、中国宅配業界の勢力図は国営の郵便局を除き、アリババ資本が入った「四通一達」※1・順豊速運(SF Express)・京東物流(JD Logistics)が3大勢力となっていました。

※1「四通一達」:「申通快逓(STO Express)」、「円通速逓(YTO Express)」「中通快逓(ZTO Express)」、「百世快逓(旧・匯通快逓、BEST Logistics Technology)」、「韻達快逓(YUNDA Express)」の5社の総称

 上記のなかでも四通一達は、今までは拼多多を含める巨大ECサイから多くの業務を受注して圧倒的な売上を維持していました。しかし、J&T Expressの中国市場進出に伴い、拼多多からの膨大な物量を失ってしまいました。そのため、四通一達はJ&T Expressに奪われた売り上げを取り戻そうと必死です。

 2020年10月から、四通一達は市場シェアを急速拡大しているJ&T Expressに前例がない厳しい抵抗令を連投しています。すべてのフランチャイズ加盟店にJ&T Expressとの協業を禁止する通知を出しました。

さいごに

 中国宅配市場に参入して半年しか経っていないJ&T Expressですが、なぜここまで業界大手に嫌われるのでしょうか。四通一達はアリババから大規模な投資を受けているので、アリババのEC王国を脅かす拼多多の勢いをどうしても抑えておきたなかったのかもしれません。しようとしたのかもしれません。いずれにしても、J&T Expressの躍進によって、EC業界はTモール、JDドットコム、拼多多という三国時代に入ったことが分かりました。

 たしかに、新勢力の拼多多は最高のマーケティングパフォーマンスでTモールとJDドットコムを警戒させましたが、安い価格を実現するには物流コストを圧縮しなければいけません。つまり、通販シェアの拡大と物流ネットワークの構築は密接に関係していると言えます。

 当社ではこのように急成長する中国市場に日本企業がいかに立ち向かうかを、マーケティングとロジスティクスの両面から支援しています。

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Pen Iconこの記事の執筆者

魏 仙麗

船井総研ロジ株式会社

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