中国帰りのコンサルタントの視点 2020.10.23

中国「独身の日」12.9億個の配送をささえるアリババグループ「菜鳥」

 はじめまして、船井総研ロジ㈱グローバルSCM室の魏でございます。今回が初投稿になります。上海大学を卒業して、船井総研ロジに入社しましたが、コロナ禍で1年目は日本の赴任が遅れ、現在は中国ベースで日本のお客様の中国販路開拓、中国配送関連の業務を担当しています。

 今回のコラムでは、中国で今や国民的大イベントになっている11月11日の「独身の日」(双十一、双11、W11とも呼ばれる)とそれを支えてきた、アリババグループの物流会社「菜鳥網絡(CAINIAO)」についてご紹介させていただきます。

中国「独身の日」とは

 まずは「独身の日」について簡単に紹介します。

 独身の日とは、毎年11月11日に行われる中国最大のECの祭典です。かつてから中国国内で「独身の日」と言われていた11月11日をECの祭典として、アリババグループがキャンペーンを行なったのが始まりです。「独り身で家族や恋人と外に出かける予定のない人は安売りをするのでネット販売を楽しんでください」というややジョークの入った販促企画が大ヒットしました。2009年、アリババグループが運営する「天猫(T-mall)」は独身の人を応援するコンセプトでECセールをスタートさせ、11月11日は中国人にとって「双十一」といわれるECの安売りの国民的イベントに成長しました。

 アリババグループの「独身の日」売上高は全世界のトップニュースになります。事前に配布したクーポン券や、早く買えば買うほど安く商品を手に入れられる早期割が消費者の購買意欲を掻き立てた結果、2009年の第1回に0.52億元(現在の為替で約8.21億円)だった売上が2019年には約2,684億元(現在の為替で約4.23兆円)で5,368倍に成長しました。なお「独身の日」では様々なネットショップが大がかりなマーケティングを仕掛けていますが、これについては次回のコラムでご紹介いたします。

アリババの「菜鳥網絡(CAINIAO)」

 さて、本題のアリババグループのロジスティクスを牽引する菜鳥の紹介です。

菜鳥なくして独身の日は成り立たない

 「独身の日」を起爆剤に大躍進をしているアリババのECビジネスですが、アリババグループ傘下の物流プラットフォーム「菜鳥網絡(CAINIAO)」も劇的に進化しています。アリババグループの2019年10-12月期の決算書によりますと、2019年の独身の日に、菜鳥網絡とそのパートナー物流会社は12.9億個の荷物を配送し、過去最高記録を更新しました。物量は2009年の第1回の「独身の日」の約5,000倍であり、1日の取扱量の世界最高記録でした。また11月11日から11月18日までの1週間で18.8億個の荷物が中国国内で配送されたことになります

 こうした世界最大の物量を処理できる菜鳥のオペレーションの鍵は、ビッグデータに基づく出荷物量予測と倉庫管理システム(WMS)の連携、無人搬送車(AGV)等の徹底した省人化オペレーションが完成しているからです。技術の進化によって、これまでは難しかった人が介在する「物流サービス」を無人に近いオペレーションまでに高めることで、日本やアメリカに匹敵するサービスレベルを実現しています。

中国最大の物流テックカンパニー菜鳥

 菜鳥は、アリババグループのEC事業の発展による膨大な物流負荷に対応するために、リテール大手の銀泰集団、工業大手の富春集団、キャピタル大手の復星集団および物流会社の順豊、中通、円通、申通、韵逹によって2013年に設立された比較的歴史の浅い物流会社です。その後、アリババグループの増資により、2017年からアリババグループの子会社になっています。アリババグループになったことで、菜鳥は取り扱いボリュームを激増させています。

 アリババグループがグループ傘下に巨大物流会社である菜鳥を置いているのは、アリババグループを支えるために①EC商流機能、②決済機能、③ロジスティクス機能が不可欠であると考えているからです。EC商流の「タオバオ」「天猫」、決済機能の「アリペイ」、ロジスティクス機能の「菜鳥」で社会インフラを革新させようという発想が根底にあります。菜鳥は、ビックデータ、人工知能など最新テクノロジーで中国スマート物流の基幹ネットワーク(China Smart Logistic Network、略称CSN)という物流プラットフォームビジネスを確立させています。また、菜鳥の基幹システムは、EC商流から予測される出荷量予測を、各出荷者にリアルタイムで情報共有することで、最新の市場需要を見える化させることに成功しました。菜鳥の利用荷主はこれにより、現在だけでなく未来のサプライチェーンまで可視化することができます。

 アリババグループの取組をみても、商流と物流は密接な関係にあります。当社も中国へのロジスティクスサービスに中国巨大市場むけ「爆売り」新販路開拓を組み合わせたコンサルティング商品を展開しています。もし興味がございましたら、2020年11月17日(火)15時開催の無料オンラインセミナーにお申込みください。

Pen Iconこの記事の執筆者

魏 仙麗

船井総研ロジ株式会社

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