ライブコマースが中国「独身の日」をいかに爆発させるか?

 船井総研ロジの魏でございます。

 前回のコラムでも「独身の日」について触れましたが、今回はアリババグループが「独身の日」を世界最大のEC商戦として、どのように大成功させているのか、その秘訣をマーケティング面を中心に紹介します。

1.「独身の日(双11)」は中国最大のEC爆売りの日

 まずは「独身の日(以下、双11)」および今年のルールについて紹介いたします。

 既にご存知かもしれませんか、「双11」とは、中国でネット通販イベントとして毎年11月11日に開催される世界最大のEC商戦です。この大セールの主戦場となるのは、双11に最初に目をつけたアリババグループが運営する個人間取引用のECモール「淘宝(Taobao)」と、企業と個人の取引用ECモール「天猫(T-mall)」です。下記グラフが示すとおり、双11の売上は年々上昇しており、2019年は取扱高が4.2兆円に達成しました。今年はいったいどこまで伸びるのか、2020年のマーケティング手法と総売上額は全世界から注目されています。

アリババ「独身の日」売上高推移
図:アリババグループの「独身の日」の売上推移

2.アリババグループが仕掛ける双11爆売りマーケティング

 今年の双11のEC商戦はアリババグループがいわゆる「爆売り」手法を詳細に紹介しています。

①本番で使えるクーポンを配布する予約販売を獲得する作戦

 10月21日〜10月31日は爆売りにむけた予約販売でウォーミングアップを仕掛けます。この期間のプレセールですが、事前に手付金を払えば本番が始まった際に価格を割り引いてもらえます。参加企業は人気商品ランキング入りを狙い、他店でも使える共通クーポンと自社店舗のみの限定クーポンを配布して優良顧客を囲い込んでいきます。

②第1波の山を作り、カテゴリーランキング上位を狙う作戦

 11月1日〜11月3日の期間は「爆売り」第1波の山と呼ばれています。そこで、新商品・スター商品・限定商品および数量限定の先着販売を行い、カテゴリー内のランキング上位入りを狙っていきます。

③最大の「爆売り」の山を作り出す作戦

 第1波と同じマーケティング手法ですが、11月4日〜11月10日は充分な在庫があるスター商品を集中的に広告宣伝し、11月11日の大爆発への誘導を狙っていきます。

3.タオバオライブによる大変革

 今年のアリババグループが全力で取り組む戦略はひとことでいうとライブコマース爆売り戦略です。

 今年の双11は内容がさらに高度なものになることが予測されており、アリババグループは自社のライブコマースプラットフォーム「タオバオライブ」が中心的な舞台になると自社の戦略を明らかにしています。

既にアリババグループの戦略は動き始めています。

コロナが中国ライブコマース市場を急拡大させたのか、ウォーミングアップ期間中の初日時点で、ライブコマースは大いに盛り上がりました。アリババグループが発表したデータによると、2020年10月21日の0時10分、予約販売が開始してわずか10分で、ライブコマースによる販売額は昨年の11月11日の全ライブコマースの販売額を超えました。 

 なぜ、これほどまでの成功をおさめているのか。それは、中国のカリスマライバーである「薇婭(Viya)」と「李佳琦(Austin)」を起用したことに秘密があります。2020年10月20日の夜から始まった7時間のライブで、薇婭は1.62億PV、35.51億元(約556億円)の売上を達成し、李佳琦は1.49億PV、 32.26億元(約505億円)の売上を達成しました。たった7時間、しかも2人で1,000億円の売上を実現したのです。前哨戦期間でもすさまじい爆売りをしかけている中国ライブコマースですが、本番期間はどこまでこの爆売りが伸びるのかとても楽しみです。

 日本ではまだまだライブコマースで商品を売るという手法はそれほど定着していないと思います。しかし、上記のような中国で成功したマーケティング手法を取り入れた会社は、中国への販売量をものすごいスピードで拡大しています。

 このコラムの読者のなかにはまだ中国への自社商品の販売は非現実かと思われている方もいるでしょう。でも間違いなく中国人ユーザーは日本の商品を求めています。船井総研ロジでは、中国巨大市場にすぐに繋がるEC販路、ライブコマースの企画サポート、日本から中国に繋がる一気通貫のロジスティクスサービスをセットにしたコンサルティングサービスをお客様に提供しています。

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