緊急提言!物流部門が直面する3つの課題

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

東京都を含む主要都市へ緊急事態宣言第三弾が発動されました。今年の荷動き低迷は想定内ではありますが、貨物流動期であるこの時期は物流会社からするとかなり厳しい情勢です。

一方、荷主企業の物流部門は平穏な日々を過ごせているのではないでしょうか。
物流会社からの値上げプレッシャーはピタリと止まり、残貨やリードタイム遅延
もほぼ無くなった現状は、近年稀にみる平和な状態です。

海上コンテナ不足による世界的な海上運賃高騰現象は続いていますが、この課題は物流部ではなく、営業部門や海外部門が担っている企業が多いかと思います。

※海コン不足についての考察は、YouTubeの解説をご覧ください。
 https://www.youtube.com/watch?v=0rOcLyFbkjg

物流部門が直面する3つの課題

さて、今回はそんな平和な物流部へ3つの提言をお伝えしたいと思います。

(1)2024年4月1日960問題への対策
(2)脱炭素への取り組み
(3)令和の物流戦略再構築

2024年4月1日960問題への対策

ドライバーの年間総残業時間が2024年4月1日より上限960時間の規制が設けられます。トラック運送事業者約6万2千4百社のうち、上場物流会社の自社ドライバーを含めて約50%程度が、この規制が始まることで非常に困難な状況となります。

何が大変かと言いますと、法令通りの総労働時間内で稼働すれば、輸送回転率の低下、中長距離ワンマン運行の見直し、宵積み体制の撤廃など、多くの現状オペレーションに影響を与えます。

この問題は根深く、
①ドライバーの自主荷役(付帯作業)問題
②ドライバーの待機時間問題
③契約運賃水準の是正問題

など、物流部にとって最大の難関ではないでしょうか。

これらの対策は、まず自社の現状を正しく捉えることです。課題として顕在化しているものと、潜在的要素を正確に掴まないと、リスクも対策も見誤ってしまいます。

では、放置しておくとどうなるかと言うと・・・それは、強烈な値上げか取引縮小、拒否という最悪の事態もあり得ます。

脱炭素への取り組み

こちらは国策と言える取り組みです。CO2排出量は貨物輸送で8,650万トン(国全体の7.3%)とのことです。政府は2030年までに3割の削減目標を立てています。

主な対策としては、
①トラックのEV、FCV化
②燃費向上
③積載率向上(現状約40%)
④全体効率化(共同配送や共同幹線便)
⑤物流センターなどの施設の効率化(共同荷主、共配センター)
⑥包装廃棄物の削減、リサイクル化
⑦サプライチェーン最適化による食品ロス削減

上場企業はもちろんのこと、非上場企業においても脱炭素の取り組みは不可避であり、顧客との取引関係や金融機関との取引関係にも影響が出てきます。これも全て運賃値上がり基調へと結びつきます。

令和の物流戦略再構築

平成時代に立てられた今の物流戦略は、令和時代になって今後の持続的な企業成長を実現するうえでは合わなくなっています。

①拠点立地の最適化(調達先とマーケットの関係)
②新物流BCP策定(調達先の可視化や経路の確認なども含む)
③持続的な成長を支える物流オペレーション体制(省人化対策、DX化推進、安定供給など)

平和な今、物流部は上記3つの課題を解決するべく行動を起こさないと、アフターコロナ局面を迎えると、そんな悠長な企画立案などできなくなってしまいます。

物流業界が動き出すのは、ワクチン接種が我々一般人へ行き届いた頃でしょう。
年内か、もしくは来春がタイムリミットとみています。安寧な物流環境の今、将来の物流リスクを最小限に抑えることが物流部門の使命だと思います。

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