物流コンサルタントの視点 2021.05.25

物流施設の新規開発および大規模化によって生まれた新たな課題

日本における倉庫の巨大化

インターネットの普及により、ネットのショッピングモールおよび企業個別のECサイトが増え、EC化率が年々高くなっています。EC事業の拡大に伴い、大手EC事業者を中心に、数多くの巨大な物流拠点が新設・拡充されています。

国土交通省の調査(グラフ:倉庫棟数と床面積の推移)によると、平成21年から国内倉庫棟数と倉庫床面積は年々増加しており、特に床面積は令和2年に11,348千㎡(前年比26.7%増)に達しました。

首都圏(特に高速道路・主要幹線道路沿い)では、特に超大型倉庫の建設が相次いでいるとともに、1棟を複数の荷主企業が利用する大型のマルチテナント型施設も少なくありません。

国土交通省「建築・住宅関係統計調査」|船井総研ロジ株式会社
出典:国土交通省「建築・住宅関係統計調査」より船井総研ロジ作成

倉庫巨大化がもたらす物流課題

物流施設の拡大により、物流業界の新たな課題も顕在化してきています。

人材獲得競争

1つは「人材が集まりにくい」という課題が挙げられます。大型倉庫になると複数の企業が入居するため、個別の倉庫でも人材獲得の競争が発生します。更に大型施設を建築できるエリアは限られるため、施設が集中することで、エリア全体での人材獲得競争が起こり、問題は深刻なものとなっています。

移動時間の増加

2つめは「動線の延長」です。倉庫の巨大化によって作業スタッフが施設内での歩行時間が長くなるため、人手不足の中で、無駄な移動時間(非付加価値時間)が増大しています。

以上のことから、倉庫巨大化がもたらす物流課題を解決するためには、省人化・省力化・自動化を目指した物流倉庫の構築が必要といえます。

EC市場が活発している中国の物流は?

急速な経済成長を遂げ、世界最大の消費市場となった中国においては市場全体の EC 化率が20.4%となり、日本のEC化率7.9%と比較しても、市場のEC化が大きく進んでいます。

中国でも物流施設の増加と巨大化が進んでいる

中国においても、EC市場を支えるために倉庫の需要が拡大しています。

物流施設のプロバイダーだけでなく、ECサイトであるアリババと京東(JD.com)、家電量販大手の蘇寧易購集団といった大規模なEC事業者は、40,000千㎡を超える保管面積を持つ物流用地を取得しています。

中国も日本と同様に、物流施設の増加と巨大化が、人手不足と非効率性という課題をもたらしています。そして、物流施設の省人化、自動化が求められているのです。

中国 京東物流の無人倉庫

京東物流(京東「JD.com」の物流会社)は「自動倉庫」や荷物の搬送・仕分けを担う「無人搬送機器(AGV: Automated Guided Vehicle)」、「ピッキングロボ」などを積極的に導入し、無人倉庫を実現しています。

また、未来のテクノロジーに向けた取り組みも積極的に行っています。ドローンによる遠隔地への配達やラストワンマイルにおける配達ロボットも大学構内や特区内で実用化に入っているのです。

中国智能物流骨幹網(中国スマート物流骨幹ネットワーク)

京東物流がオペレーションの機械化・自動化に強くフォーカスしているのに対して、アリババ傘下の物流会社である菜鳥網絡(Cainiao Network)は、ビッグデータやソフトウェアの開発に重点を置いています。「中国智能物流骨幹網(中国スマート物流骨幹ネットワーク)」と呼ばれるオープンプラットフォームを構築し、クラウドを通じて物流システムおよびデータ基盤を物流パートナーに提供しています。

まとめ

今後もEC市場の拡大が見込まれることから、物流施設の増加、倉庫の巨大化はより一層、進んでいくと予測されています。それによって発生する人手不足と非効率な倉庫内作業を解決するため、省人化・自動化は必要不可欠です。

物流業界では、他分野と比較しても、自動化・機械化・物流DX(デジタルトランスフォーメーション)の活用は一部にとどまっており、更なる普及はこれからといえます。

倉庫作業の自動化は長期的な取り組みが必要であり、最終的には経営判断が求められます。当社では荷主企業の最適な物流戦略構築や自動化の支援を行なっています。

また、物流DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する企業を束ねる物流DXに関する研究会「DXロジ研究会」を運営しています。活動の大きな転換を図りたい企業はぜひ一度、当社Webサイトご覧ください。

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