2023年物流業界は大転換期となる!|プロが解説!物流改善の実践手法

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

前回のコラムでは2023年の物流業界でおさえておくべきメガキーワードを解説しました。
【前回の記事】2023年の物流業界に何が起きる?激変の予感

今回は物流業界の大転換期について皆様にお伝えします。
2023年の物流業界に変化をもたらすカギは何でしょうか。

2023年は物流業界にとって最も重要な一年となる予感

新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いします。

皆様、年末年始はゆっくり過ごすことができましたでしょうか?
この3年間、国内物流はコロナ禍の影響により物量が減少したことで、物流会社からの値上げプレッシャーは弱まり、荷主にとっては平穏な日々であったと思います。

一方、グローバル物流は海運も航空もスペースが逼迫し、過去最高水準の価格帯が続いていました。米国の景気減速や中国のゼロコロナ政策などの影響で、海上コンテナ輸送は昨年11月ころからじわじわと値下り基調となり、一時の海運バブルは落ち着く方向で推移しています。

2023年は国内物流費が爆上がりする可能性があります。
昨年末より、原材料価格の値上がり・円安・海外からの調達物流費の高騰などの影響で、自助努力では耐えきれなくなった日本企業は、雪崩を打つように商品価格の値上げに踏み切りました。新聞紙上へよく「原材料費及び物流費の値上がりによるもの」との値上げ理由が記載されていますが、これは表現足らずだと思います。

実際には、「海外からの調達物流費」は上がりましたが、国内の物流費はほとんど上がってはいません。一般消費者はこの記事を見ると、国内物流費が上がったと判断するのではないでしょうか。

国内物流費は2024年問題を前にしたこの一年で一気に上がる、いえ、上げないとならない状況なのです。物流業界は、価格転嫁率も他業種と比べて低い水準であり、高騰した燃料価格も実運送会社(自社便保有会社)が転嫁できずに利益を削って凌いでいます。
ただ、この現況のまま長続きすることは不可能であり、どこかのタイミングで限界点を突破し逆張りへの大転換となるのではないでしょうか。

大転換のシグナルはインバウンド消費

コロナ前の2019年は3,000万人超の来日で約4,8兆円のインバウンド消費がありました。

日本政府が目標に掲げているインバウンド消費5兆円が実現できると、当社試算においては物量3万8千トン、売上1,800億円の物流費が発生します。日本の総物流費の中では0.9%程度ではありますが、2019年対比90%程度の現況下においては大きな起爆剤となり得ます。

昨年末より欧米系のインバウンドは徐々に増加傾向ですが、本番は中国人旅行者でしょう。中国のゼロコロナ政策が緩和され、中国への入国待機が無くなることで、一気に加速します。今年の春節(1月22日)でいったいどれだけのインバウンド数になるかが、今年を占う目安となります。

今後のカギは旅行者の増加と物流需給のバランス

大量の旅行者が来日することで、食品や物の消費、お土産品など多くの物流が発生します。稼働の低かった車両や物流センターが活発化し、需給バランスが逆転する可能性を秘めています。

マクロ環境では、半導体不足による生産減少や米中の景気減速、ウクライナ紛争など決してポジティブな状況ではありませんが、一縷の望みとしてインバウンド消費に期待したいと思います。

潮目が変わると、物流業界は一気に運賃値上げや労働時間短縮へ向かいますので、荷主の物流部は来期予算をそれなりに見込んでおくことをお勧めします

2023年の物流業界動向に関しては、2/16開催のセミナーでもお伝えしますので、ぜひご参加をお待ちしております。

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赤峰 誠司

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