未払い残業代のもつリスクとは?

玉川 豪史

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玉川 豪史

船井総研ロジ株式会社 物流ビジネスコンサルティング部

運送会社を専門とする社会保険労務士・行政書士事務所に8年間勤務した後、船井総研ロジ株式会社に入社。労働者との間に問題を抱える中小運送会社に対し、労働紛争の解決や賃金体系の変更など、人事労務コンサルティングに従事している​​。

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感染症拡大初期では、雇用不安で下火傾向であった労使トラブルも、ここ最近は一転して増加傾向となっています。また、2024年4月の法改正以降はさらに増加すると言われています。

本コラムでは、運送会社が抱える労使トラブルのうち、多いトラブルの一つである未払い残業代のリスクと解決策について解説していきたいと思います。

未払い残業代のリスク

残業代はそれぞれの会社の支給内容を法令に照らし合わせて、正しく支払われているかどうかを判断されます。未払い残業代が存在すると、労働者からの訴え等によって、運輸支局や労働基準監督署の監査がくるリスクが高まり、行政対応に時間を費やすこととなります。

また、労働者は、最大3年間遡って未払い残業代訴訟を起こすことができます。

そうなると、会社は法廷闘争に時間とコストを費やすこととなり、結果次第では未払い残業代だけでなく、遅延損害金や付加金、慰謝料なども含めて多額の支払いを命じられることとなります。

さらに、会社にとって一番恐れることは、一度の訴訟結果から、同種訴訟が連鎖して発生することです。一度目の訴訟結果を判例とされるので、ほぼ同条件の支払いを命じられることになります。

このようなリスクに加え、生産性の低下、信用の失墜、従業員の離職率の上昇などの影響が懸念されます。

未払い残業代の問題解決に向けて

これらの問題を解決するためには、賃金体系のチェックと見直しを行う必要があります。現在の賃金体系に法的リスクがないかをチェックし、従業員が公平性を感じる賃金体系に変更することで、法的リスクからの解放、生産性の向上や従業員との信頼関係の構築につながり、経営に専念することができます。

  • ・完全歩合制を導入しているから残業代は支払っていない
  • ・完全歩合で計算した金額を基本給と残業代に振り分けている
  • ・残業代込みの給与を支払っている
  • ・管理職にして残業代をつかないようにしている
  • ・採用時に従業員がこの賃金と納得して雇っている
  • ・歩合給に残業代が含まれているから大丈夫

一つでも該当する場合には、今すぐ賃金体系のチェックと見直しをしましょう。

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