プレ2024年問題
いよいよ来年に差し迫った「時間外労働の上限規制」、ここ数年間で2024年問題の重要性が認知され始め、対策を講じている運送会社も徐々に増えています。 まだ対策が出来ていないため、これから来年に向けて1年かけて考えていこうという企業様もいらっしゃるかと思います。しかしその前に、2023年4月から施行される「割増賃金率の引上げ」に関しては既に対策済みでしょうか。 本コラムでは、4月から中小企業でも適用が開始される割増賃金率の引上げに関して改めて確認していきます。
目次
割増賃金率の引上げ
わが国では、法定労働時間が1日8時間、週40時間を超える場合は時間外労働となり、通常の賃金に25%以上割増した割増賃金を従業員に対して支払う必要があります。これまでは何時間、時間外労働を行っても同じ割増率でしたが、2023年4月以降は月60時間以上の時間外労働に対する割増率が50%以上へと引き上げられます。
割増賃金の計算方法
【時間軸給の場合】
1時間あたりの基礎賃金×割増率×時間外労働時間
※1時間あたりの基礎賃金=月給 ÷ 月平均所定労働時間
【歩合給の場合】
歩合給 ÷ 総労働時間×割増率×時間外労働時間
賃金の割増率について確認できたところで、4月からそのまま割増率を50%以上にするのではなく、
割増賃金の基礎となる賃金についても確認していきましょう。
「月給」=「現在従業員に支払っている総支給額」ではない
実は、上記計算式の中にある「月給」=「現在従業員に支払っている総支給額」ではありません。「割増賃金の基礎となる賃金」から除外できるものがあるので、これまで余分に支払っていた場合は金額の見直しが出来ます。逆に、基礎賃金から除外できないものを除外してしまっていると残業代未払いに繋がりますのでしっかりと確認していきましょう。
割増賃金の基礎賃金は、基本給だけではなく、それ以外の諸手当も含まれますが、労働の対価ではなく、従業員の個人的事情により支給される手当は除外することができます。具体的には下記の7つです。
- ①家族手当
- ②通勤手当
- ③別居手当
- ④子女教育手当
- ⑤住宅手当
- ⑥臨時に支払われた賃金
- ⑦1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
※家族手当・通勤手当・住宅手当などは、全従業員に一律支給する場合は割増賃⾦の基礎に含まれるので注意しましょう。
割増賃金の基礎に含まれる手当例
- ・皆勤手当
- ・役職手当
- ・無事故手当
- ・危険手当
上記を確認し、従業員の労働時間の管理を行い、適切な給与支給を行っていきましょう。
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