運送業に多い「出来高給」の項目を見直す必要がある?
皆さんは、2023年8月9日、サカイ引越センターの元引越し作業員兼ドライバー3名が未払い賃金の支払いなどを求めていた訴訟で、東京地裁立川支部は、同社に計約1,570万円(未払い残業代として約950万円、ペナルティとして約620万円)の支払いを命じたことをご存じでしょうか。なぜこのような判決が下されたのか、また今後の賃金体系における注意点について解説いたします。
今の「出来高給」は今後、認められない可能性が高い?
同社は、「基本給」と「出来高給」を併用する賃金体系を導入しており、 基本給の他に、出来高給(売上に応じた売上給、件数に応じた手当、作業手当、洗車などの車両整備に応じた愛車手当など)、無事故手当、調整給などを支給。給与の大部分が「出来高給」になっていました。
出来高払制の場合、時間外割増賃金(残業代)の計算式は、月平均所定労働時間を月給(固定給)で割る通常の賃金に比べて割増賃金が少額になります。
・時間外割増賃金=歩合給÷総労働時間×0.25×時間外労働時間
長時間労働になりがちな運送業へのメリットが大きいですが、今回の判決で、出来高払いとして扱っていた部分の全てについて、出来高払制賃金に該当しないと判断されました。理由は以下の通りです。
- ・出来高払いによる賃金の支払いは認められているが、出来高払制は、賃金が労働給付(現業職であれば作業量など)の成果に応じて一定比率で定められている仕組みを指す。
- ・売上給は、営業担当と顧客の交渉で決まっており、作業員は会社から指示された作業をしているだけで、自助努力が反映されているとは言い難い。
サカイ側は控訴しましたが、出来高払制を採用している企業は多く、本判決の影響は大きいです。残業代を低く抑えるために、基本給を低く、給与の大部分を出来高給に設定している、という見方をされないよう確認しておく必要があります。
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