最低賃金の動向と給与改定で気をつけるべきポイント

今年も各都道府県で地域別最低賃金が発表されました。

47都道府県で39円~47円引上げられ、改定額の全国加重平均額は1,004円(昨年度961円)となり、ついに1,000円を超えました。

全国加重平均額43円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額となります。

本コラムでは、最低賃金の動向と給与改定で気をつけるべきポイントについて解説していきたいと思います。

都道府県ランク区分の変化

毎年見直しが行われている最低賃金ですが、最低賃金の目安額を示す都道府県のランク区分が、4区分から3区分になったことをご存じでしょうか。

各県が所属するランクの見直しは何度か行われていましたが、ランク数の変更は初の試みです。

最低賃金は、①賃金②労働者の生計費③通常の事業の賃金支払能力の3要素を考慮して決められていますが、 昔と比べて最低賃金の地域間格差が広がってきました。

2002年度には、東京都が708円、沖縄県が604円と104円だった差額が、2022年度時点では、東京都が1,072円、沖縄県が853円で差額が219円となり、20年間で2倍以上にまで広がっています。

ランク数の削減は、このような地域間格差の是正を目的として行われています。

最低賃金の考え方

2023年10月の最低賃金アップに向けてベースアップもしくは賃金体系の見直しを行っている企業も多いのではないでしょうか。

その際に気をつけなければならないのは、最低賃金の計算方法です。 賃金制度の構築をしていると多くの企業から 「基本給が最低賃金を超えないといけないんですよね?」 という声や、逆に 「月給(割増賃金以外)が最低賃金の下回っていなければ大丈夫ですよね?」 という声をよく聞きます。

法令で定められた金額よりも多く支払っている場合は問題ありませんが、 最低賃金の計算に入れてはいけない手当を追加して計算していると、 思わぬところで最賃割れをしてしまいますのでしっかりと確認しておきましょう。

最低賃金の計算方法

①時間軸給の場合

月給÷1ヶ月平均所定労働時間

②歩合給の場合

出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額÷総労働時間

①の月給に含めてはいけない手当が存在します。 下記の手当を含めて計算していないか確認してみましょう。

【最低賃金の計算に入れてはいけない手当】

  • (1) 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  • (2) 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  • (3) 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
  • (4) 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
  • (5) 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
  • (6) 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

上記を確認し、法令を遵守した賃金制度を構築していきましょう。

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