歩合給が物流企業を滅ぼす可能性
歩合給は、賃金が労働給付の成果に応じ一定比率で支払われる賃金形態で、運送業では売上歩合、距離歩合など、「働いた分だけ稼げる」として多くの企業で導入されています。残業代についても、通常の 1.25 倍でなく、0.25 倍の計算が適用される点で非常にメリットがあります。
目次
トラックドライバーの働き方改革と給与制度の課題
しかし、2024 年の労働時間上限規制(960 時間)、将来的には 720 時間へのさらなる短縮が予定されており、この制度は運用面において限界を迎える時がくるでしょう。ドライバーは稼げず、売上歩合を導入している場合、荷主交渉の成果次第によって、出来高給の格差ができ、賃金バランスが崩れて、平等だが不公平な制度になってしまうでしょう。
場合によっては、「歩合が低い仕事や割の合わない仕事はしたくない。」といった声があがって、現場のマネジメント機能が低下し、「管理職の罰ゲーム化」が進むでしょう。
付加価値が高い仕事ができるドライバーほど給与が高くなるよう設計し、限られた労働時間の中で、安全・安心・安定した働き方ができるドライバーを評価するような制度設計を行えば、マネジメント機能が強化され、組織風土も良くなるでしょう。

さいごに
等級制度、評価給などを上手く導入すれば、労働時間だけを対価にしない(仕事が遅い社員の給与が高くならない)制度設計を構築することができます。また、サカイ引越センターで未払い賃金をめぐる訴訟(出来高払制に該当しないのに出来高払制と称して残業代を低く計算し、未払いが発生している)の結果次第で、運送業における歩合給が違法となる可能性があります。下記セミナーも合わせて参考にしてください。
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・「歩合給」がダメなら、どのように給与を支払うか
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