荷主に選ばれるBCP
感染症や自然災害に起因するリスクの増加に比例して、BCP策定の重要性は今後高まっています。
ただ、国交省の資料によれば、BCPの策定率は荷主が57.3%に対し、物流企業が21.5%と、物流事業者側の策定が進んでいない現状です。
有事にいかに物流サービスを継続するかという視点で、今後荷主から評価されるためのBCPを考える必要があります。
今回は、策定の流れとそれぞれのコツについてお伝えします。
目次
一般的なBCP策定の流れ
- BCP策定までの流れは、一般的に次のようになります。
- ①対象事業の決定
- ②復旧状態・復旧時間の明確化
- ③リスクの洗い出し
- ④BCP策定
- ⑤社内浸透
それぞれのポイントを記載します。
①対象事業の決定
自社の事業を整理し、どの事業を対象にBCPを策定するか選定します。
この選定の過程では、主要な荷主にヒアリングするとよいです。
例えば、運送事業であればどのコースを優先的に復旧させてほしいか、倉庫事業であれば保管・荷役・流通加工など、どのような範囲で対応してほしいか、など求めるレベルを明確にしておくのが重要です。
②復旧状態・復旧時間の明確化
これは文字通りの意味ですが、自社で復旧するという選択肢の他に、協力会社に物流を移管して暫定的に復旧させるという手段もあります。
その場合は、代替の保管先・輸送依頼先を事前にリストアップしておくとよいでしょう。
③リスクの洗い出し
感染症、自然災害、ネットワーク障害、出火・放火など、リスクは数多くあります。
しかし、すべてに対処する必要はありません。起こりうる可能性が高く、かつ優先的に対処すべきリスクに絞って策定するのが効率的です。
④BCP策定
国交省のデータによると、荷主が重視するBCP策定時のポイントは、「輸送中の車両の位置情報の共有」「道路等の交通インフラの情報収集」などが挙げられており、きちんと荷物が届けられるかどうかという視点になっています。
それに対し、運送会社が重視するポイントは「ITシステムの対策」「燃料確保」など、運行の根幹をなす要素が上位を占めていました。これはつまり、運送会社と荷主との間でのギャップを表しています。
①でお伝えした荷主ヒアリングと合わせ、策定範囲・内容については十分に議論をすべきところです。
⑤社内浸透
社内教育でどのように浸透させるのか、また緊急連絡網や備蓄リストなどの更新を誰がどのくらいの頻度で行うのかというところまで押さえておきましょう。
これらのポイントを押さえ、荷主に選ばれるBCP策定に取り組んでみてください。 策定そのものには、特別な設備も投資も必要ありません。
社内での打ち合わせからスタートできるので、会社を守り発展させるために、ぜひ早急にご検討ください。
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