運賃動向を予測できる重要な指標

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

昨今は、物流業界に関わる“荷動き量”“燃料相場”“人件費相場”の影響が運賃市況への反応を早めています。
2017年以前は、荷主優位の関係が長かった為、少々の相場変動では運賃市況へのインパクトはありませんでしたが、今は違います。

荷動き量に前向きな変化が見えてきた

まず、“荷動き量”はコロナ禍において大打撃のあった飲食業界が9月以降、復活の兆しが見え、外食チェーン・居酒屋チェーンなどの業務用食材が動き始めました。

ビジネス環境は、リモートワーク中心から「リモートワーク&アクティブワーク」の新しい生活様式が確立され、日本経済全体がウィズコロナを受け入れながら、前向きに回り始めたと思います。

EC市場は引き続き絶好調を維持し、更なる拡大化が進んでいます。
輸出入貨物の動向は、直近では北米向け、中国向け輸出が活発化し、中国からの輸入量が増加傾向です。

荷量とドライバー数の均衡化

燃料相場は、底値から小刻みな変動を繰り返していますが、産油国や世界情勢に大きな事案がない限り、当分このトレンドは続くと見ています。

現在、ドライバー不足は小康状態ですが、いつ元の状態に戻るのか、運賃市況の重要なキーファクターとなります。
荷量とドライバー従事者数が、均衡化されているのが現在ではないでしょうか。

標準運賃と市場価格の乖離

今、荷主物流部と大手物流会社の中で一番の話題は、先に公示された国土交通省の“標準運賃”についての扱いです。

当社の運賃アナリストが分析した結果、この標準運賃と市場価格は約28%~32%程度の乖離があります。

標準運賃と市場価格の乖離に関する詳しい解説はこちら
≫ コラム「改正貨物自動車運送事業法「標準運賃案の告示」による荷主企業への影響」

当然、市場価格の方が下部に位置しています。

今回の国交省標準運賃なるものは、従来の平成〇〇年タリフとは、かなり意味合いが違うと私は見ています。

例えば、タリフは運賃市場の相場を示すベンチマークとして、活用されてきました。
取引条件や荷量など、運賃水準を決定させるためのいくつかの要因を基に、競争環境の中で収斂されて今の相場となるタリフが形成されています。

そのタリフと今回の標準運賃は乖離が約30%あります。
これ、実はかなり深い意味と運賃市場を予測できる重要な指標なのです。

標準運賃の持つ真の意味についての考察は、ここでは難しいので、当社が主催する物流セミナー「Funai物流オープンカレッジ」の中、私の時流講座で詳しくお伝えします。

最後に荷主の皆さまへひとつだけ、お伝えします。

2021年は“チャンス&トランスフォーメーション”の一年になる事を予測します。
恒例の“2021年時流予測”は本年12月のコラムで纏めます。

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コラム「改正貨物自動車運送事業法「標準運賃案の告示」による荷主企業への影響」

記事を読む
https://logiiiii.f-logi.com/series/logisticsopinion/noticeofstandardfareproposal/

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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