ESGロジスティクスで重要な7つの対策とは?~前編~

井上真希

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井上 真希

船井総研ロジ株式会社 ロジスティクスコンサルティング部
チームリーダー チーフコンサルタント

製造業・小売業・ECを中心とした荷主企業に対して、物流倉庫の改善提案・在庫の適正化・管理の提案を行っている。また、物流子会社の評価や在庫管理・分析を得意とし、分析を軸にした物流改善にも従事。近年は、サステナビリティ・ESG領域における専門的な物流コンサルティングにも取り組んでいる。​

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労働人口の減少、燃料価格の高騰、ECシフトの加速など物流を取り巻く環境は厳しさを増す一方です。
今回は、物流業界が持続的に成長するうえで重要な7つの対策をお伝えします。

➡【前回の記事】物流業界でESG経営が進まない理由とその解決策~S(社会)後編~

物流業界に求められる持続的成長

労働人口の減少(ドライバー不足、庫内作業員不足、高齢化)、環境対策(Co2削減、廃棄ロス等)、燃料価格の高騰、ECシフトの加速など物流を取り巻く環境は厳しさを増す一方です。物流課題にも大きく影響する環境問題や社会問題を解決し、企業として持続的に成長し、競争力を高めることが求められています。

このような環境下の中、国土交通省では持続可能な物流の実現に向けた検討会が開催されています。この検討会は、物流が直面している上記課題を解決し、安定的且つ持続的な物流を構築することが目的です。

そのためには特定の物流企業や荷主企業のみでの取組だけでは限界があるとし、物流課題にそれぞれの立場で担うべき役割を再考し、持続可能な物流の実現につなげるため開催されました。

ESGを経営に実装する基本的な枠組み

一方で、経済産業省では、2017年に策定した「価値協創のための統合的開示・対話ガイダンス」でESGを経営に実装する基本的な枠組みが示されています。このガイダンスは企業価値創造に向けて経営陣と投資家が対話を行い、経営戦略や非財務情報などの開示やそれらを評価する際の手引きとなる指標です。

ここでは人材や技術、顧客基盤などの財務諸表に現れない「無形資産」への投資が企業の競争力や収入力を高めるために重要であると言えます。基本的な枠組みは下記の通りになります(図表1参照)。

「価値協創のための統合的開示・対話ガイダンス」基本的な枠組み
(図表1:経済産業省 価値協創のための統合的開⽰・対話ガイダンス資料より船井総研ロジ作成)

「価値協創のための統合的開示・対話ガイダンス」から会社の経営資源や無形資産への意識付けを強調していることとESGの重要性がクローズアップされていることが伺えます。そして今後は自社のESG課題を戦略的に取り込み、その戦略を外部に表明していくことが重要になってきています。

ESGロジスティクスに必要な7つの視点

今回はESGの取組とつながりがある「価値協創のための統合的開示・対話ガイダンス」をもとに、自社の物流におけるESG課題を明確にし、ESGロジスティクスを実装するために必要な7つの視点についてお伝えします。(図表2参照)

ESGロジスティクスを実装するために必要な7つの視点
(図表2:船井総研ロジ作成資料)

ロジスティクスESGで重要な視点と「価値協創のための統合的開示・対話ガイダンス」との関係性
(図表3:船井総研ロジ作成資料)

01:現状把握

まず最も重要なことは、自社の物流における「現状把握」です。市場の変化に伴い、自社物流の見直しを検討されている企業が増えています。今後の持続的な物流を構築する為にも、まずは自社の物流実態を把握し、そこから取り組むべきこと(課題)を可視化するところから着手する必要があります。

02・03:倉庫作業の自動化・業務プロセスの標準化

国内の物流課題の特徴として「属人化」が挙げられます。お客様の要望に合わせたサービスレベルを設定していたり、属人的且つ非効率な作業やオペレーションになっていたりと標準化されていない物流現場が多く見受けられます。商品の外装表示・サイズ標準化、受け渡しデータの標準化など庫内の保管・荷役の標準化への取り組みが必要です。標準化された業務プロセスをベースに自動搬送ロボット(AGV)やWMS、自動ピッキングシステムなど活用し、自動化を進めていきます。属人的な作業が多ければ多いほど、業務がブラックボックス化されてしまいます。

参考文献

図表1:経済産業省「価値協創のための統合的開⽰・対話ガイダンス-ESG・⾮財務情報と無形資産投資-」

➡【前回の記事】物流業界でESG経営が進まない理由とその解決策~S(社会)後編~

次回につづく..


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