賃上げムードはまだまだ続く?給与改定で気を付けるべきポイントとは

玉川 豪史

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玉川 豪史

船井総研ロジ株式会社 物流ビジネスコンサルティング部

運送会社を専門とする社会保険労務士・行政書士事務所に8年間勤務した後、船井総研ロジ株式会社に入社。労働者との間に問題を抱える中小運送会社に対し、労働紛争の解決や賃金体系の変更など、人事労務コンサルティングに従事している​​。

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経団連が2024年春闘の第1回集計を公表しました。

定期昇給とベースアップを合わせた賃上げ率は平均5.58%で、33年ぶりに5%を超えました。連合の集計によると、中小企業でも賃上げ率が4%を超える高水準となっています。背景には持続的な物価高と人材の確保・定着の必要性があります。

では、この賃上げはいつまで続くのでしょうか。

賃金体系を見直し、法令を遵守する

物価上昇が続く限り賃上げも続く

厚生労働省の調査によると、物価変動を考慮した「実質賃金」は24か月連続で前年対比マイナスとなっており、賃金が上がっても物価の上昇に追いついていないのが現状です。また、最低賃金も近年は毎年引き上げられており、今後もその傾向が続く見通しです。

これにより、このまま物価上昇が続けば、賃上げもしばらくは続くと予想されます。

物流業界で常識とされた支給方法は法令違反

賃金アップを実施する際に気を付けるべきポイントをお伝えします。

それは、賃金全体の見直しを行うことです。先週のコラム「賃金の出来高払い(歩合給)、二審でも認められず会社側が敗訴」でも触れましたが、5月中旬に運送業界に大きな影響を与えかねない判決が出されました。詳細は先週のコラムに譲りますが、ドライバーの歩合給そのものが否定される判決が出ました。また、これまで業界の常識とされてきた支給方法が法令違反とされた判例も多数あります。

割増賃金として認定されるためには、以下の条件が必要です。

  • 1.所定内労働に支給するものと金額・時間・条件が明確に分かれている
  • 2.割増賃金が何時間分支給されているかが明確である
  • 3.適正な計算方法で計算されている
  •   ・固定的賃金(例:基本給、役職手当などの各種手当)÷1か月の所定労働時間(約173時間)×1.25×時間外労働時間
  •   ・歩合的賃金(例:売上歩合、回数歩合)÷1か月の総労働時間×0.25×時間外労働時間
  • 4.就業規則、労働契約書と同じ内容である

ドライバーにとって利益になるように賃上げを実施するのであれば、基本給や歩合率などの一部を変更するのではなく、これを機に賃金全体が適法になるように見直しを行いましょう。

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