値上げが止まらない!改定標準運賃案とは?
2023年は、2024年問題対応に向けた値上げが多く発生した1年でした。2024年が間近に迫り、今もなお、継続した運賃交渉を進める企業も多いことでしょう。しかし、もし皆さんの中で、2024年問題を迎え、これで運賃値上げがひと段落・・と思っているのであれば、それは大きな間違いです。
昨年12月に国土交通省から標準的な運賃の見直しに向けた検討を進める旨の告知がありました。そこで本コラムでは、見直しのポイントで注目すべき内容について解説いたします。
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物流企業と価格交渉し続けなければ事業継続も危うい?
国交省が進めている標準運賃の見直しのポイントで注目すべき内容は主に以下3点なります
- 1,運賃水準の引き上げ
- 2,荷役作業発生の作業料の設定
- 3,下請けに発注する際の手数料の設定
今回は、「1.運賃水準の引き上げ」についてお伝えします。
「標準的な運賃」は2020年4月に国土交通省より告示されました。国民生活と経済を支える持続可能な物流を構築するためにも、法令を遵守して経営する際の参考となる運賃を示すことを目的としたもので、2024年3月31日までの時限措置となっています。時限措置の終了が迫った中で、実運送事業者に対して適切な運賃が支払われるようすることを目的に運賃水準の見直しが進められています。平均約8%の運賃引き上げを検討しているようです。以下グラフで運賃レベルを見てみましょう。
標準的な運賃案との価格比較(10t車/関東運輸局)
2020年4月に告示された標準運賃、区域平成2年基準運賃、区域平成6年基準運賃と現時点検討されている改定標準運賃案を比較しました。現状の標準運賃と改定案を比較すると10t車クラスの場合、平均して6.8%のアップ率となっています。現在みなさんが契約されている運賃(市場との価格)と比較すると更に価格差が広がる一方です。
しかし、これはトラック運送業の価格交渉が進んでいない、または、適切な運賃収受ができていないことを示しています。今後も価格交渉・適切な運賃収受ができなければ事業継続、さらには私たちの生活にも大きな影響を及ぼすことを示しています。
「標準的な運賃」には現時点では強制力を伴うものではありません。物流企業(トラック運送業)が安全を遵守しながらその機能を持続するために必要なものです。ただし、物流企業との価格交渉においては一方的に据え置く(交渉をしないなど)ことは独占禁止法に違反する恐れがありますので、ご注意ください。
コンプライアンスを遵守することはESGロジスティクス推進においても重要な要素です。一度自社の運賃レベルと標準的な運賃および改定案と比較してみてはいかがでしょうか。
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