大塚倉庫株式会社 物流現場で活躍する女性(営業職編パート1)

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田代 三紀子

船井総研ロジ株式会社 執行役員 兼 コンサルティング本部 副本部長

製造業・小売業を中心とした荷主企業に対して、物流戦略策定の支援を行い、物流拠点の見直し、コスト削減策の提案、物流コンペの支援を数多く行ってきた。また、物流子会社に対しては存在価値、あるべき姿の策定、他社との競争力評価(物流子会社評価)を行っている。得意なカテゴリーは、化学、日用雑貨など。また、物流をテーマにした数少ない女性コンサルタントとして、脱炭素、ESGロジスティクス実行に向けた研修やコンサルティングを行っている。

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今回は大塚倉庫株式会社様へインタビューを実施しました。大塚倉庫様では、他業界出身者の知識と既存社員の経験をミックスさせることで、新たな物流を作りだすという考えのもと、4年前から物流業界以外からの中途採用を積極的に行っております。
また中途採用だけではなく、新卒採用でも積極的に女性の採用を行っているようです。色々な知識や経験を保有している人材をミックスさせている社風の中にいらっしゃるロジスティクス本部 課長 山田理絵様にお話を伺いました。

入社の動機-“業界未経験だからこそできる既成概念を覆す業務改善にチャレンジしたい ”

「マーケティングと業務改善をキャリアの柱とし、通信会社やマーケティング会社、エステ店舗運営会社など異業種間での転職を経験してきました。新たな転職先を探している時、当社が“業界の常識を変える物流改革”というキーワードを掲げているのを見ました。物流業界は一人ひとりの「勘と経験」を頼りに仕事を行っており、まだまだ古い慣習が残っています。しかし、大塚倉庫は老舗企業ながらも古い慣習にとらわれず、他業界の知識を取り入れ「大塚倉庫だからできること」を実現するため、異業種からも積極的に人材を採用している点に興味をいだきました。色々な業界を経験してきた私だからこそ “今までの常識に囚われない業務改善”が実現できるのではと思い大塚倉庫への応募を決めました。

また、部活動や餅つき大会などを社員が自ら運営するなど、仕事以外でのコミュニケーションを活性化させる仕組みもたくさんあり、面接時には、社員同士の結束力の強さを感じ、入社を決断しました。」

入社後の経歴- “ 平準化と誰でもできる物流をテーマにサプライチェーンの全体最適を目指す”

「現在、ロジスティクス本部という部署に所属しています。7人のチームで構成されており、私はチームリーダーを担っています。仕事内容は大きく分けて2つあります。

1つ目は、全国6支店(現場を管轄する拠点)を統括する業務で、各支店での業務の平準化や物流品質向上、また災害時等での「安定供給」を図る仕組みを構築しています。例えば、支店すべての作業を平準化させるため、現場作業手順書(マニュアル)の作成や、全社員の技能力・指導力の向上を目的に、当社独自の基準で判断する『フォークリフトマイスター制度』を導入するなど、現場社員の教育やモチベーション向上にも力を注いでいます。

2つ目は、新規案件や新しい取組みを導入する際の先導役です。「ID倉庫」「ID運輸」を一から作り上げ、勘と経験に頼ることなく、ITを活用し、「誰でもできる物流」を実現しています。その結果、業務効率向上につながり、現在では社内の有給取得率が向上するとともに、配送協力会社のドライバーの長時間労働の是正にも繋がっています。

次なるテーマとして、『コネクティッドロジスティクス』をテーマに掲げており、『IT×物流』でメーカー、当社、運送業者、卸までの情報を繋げることにより、サプライチェーン全体を最適化する新しい仕組みを企画しています。」

転機- “ 最初は苦戦、次第に本音で語り合う関係へ。現場の悩みを解決するシステム構築に繋がった”

「私が所属しているロジスティクス本部は、「業界の常識を変える物流改革」を実現させるためにも、中途社員(異業種出身者含む)と支店のスペシャリストで構成されています。新しい仕組みを生み出し、それを支店へ展開し、業務改善を行っています。

例えば「ID倉庫」や「ID運輸」などの新しい仕組みを支店で活用してもらわなければならないのですが、私自身、物流の知識、経験ともに少なかったため、当初はなかなか納得してもらえず、導入が遅れるなど非常に苦戦しました。そのため、電話だけではなく、「Office One」を使用し、Face to Faceで話す機会を作り、時には直接現地を訪れ、自ら支店の社員とコミュニケーションを図ることで、徐々に繋がりを深めていきました。

他に、自身の物流の知識を向上させるために、外部の物流技術研究会に参加しインプットを増やしていきました。そうするうちに、現場の社員とも話が通じるようになり、次第に本音を打ち明けてくれるようになりました。様々な意見交換を通じて、協力し合う体制を構築することができました。

またそのような現場の悩みを解決したいという想いから、クレーム把握システムを共に創り上げました。このような取組みにより、現場から業務効率が上がったという声を聞けた時は、非常に嬉しかったです。」

今後- “ 女性ならではのリーダーシップの形を模索しつつ、判断力を磨きたい”

「物流業界と聞くと、男性のイメージが強いかと思いますが、当社では医薬品のバラピッキングの作業が多く、これは女性中心で行っています。また当社にはフォークリフト操作でも非常に優秀な女性社員が多数おり、近年では多くの女性新入社員が入社しています。男性だから得意な分野もあれば女性だからこそ秀でている部分もありますので、適材適所に当てはめていければ、男女共に活躍できるのではないかと思います。

物流という業界にいる以上、物流を止めないということが我々の使命です。それを達成するために今一番見につけたいことは、“判断力”です。判断ができないと次の指示が出せません。迷わず素早い判断ができるかどうかというのが今の自分にとって必要なことです。
そのために、素早く適切な判断をしている人が、どのように判断をしているのかをよく見ています。また、その方が普段からどういった話をしているかなどをよく聞くようにして、自分が判断するうえでの参考にしています。

女性ならではのきめ細やかさやしなやかさもプラスしながら、物流業界において、新たなリーダーシップの形を探っていきたいと思います。」

後列一番左が山田様

取材後記

インタビューをさせていただいた際に山田様のパワーを感じ、こちらも元気をもらった気分になりました。 これまで、色々な業界を経験してきた山田様だからこそできる他業界の知識や「勘と経験」を頼りにしない新しい物流の姿が同社にあるのではと感じます。 この勢いを糧に、物流業界ではまだ少数派の存在である女性リーダーとして、今後の活躍が非常に楽しみです。

  • 今回取材させていただいた企業

    会社名
    大塚倉庫株式会社
    設立
    1961年11月
    資本金
    8億
    代表者
    代表取締役社長 濱長 一彦
    事業内容
    倉庫業、貨物自動車運送事業、貨物運送取扱業
    不動産の開発・取得・所有・処分及び賃貸・管理及び利用
    損害保険業・自動車損害賠償保障法に基づく保険代理店業
    生命保険の募集に関する業務
    情報の収集・処理の委託・システム開発・各種情報の提供及び管理他
    URL
    http://www.otsukawh.co.jp/

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田代 三紀子

船井総研ロジ株式会社 執行役員 兼 コンサルティング本部 副本部長

製造業・小売業を中心とした荷主企業に対して、物流戦略策定の支援を行い、物流拠点の見直し、コスト削減策の提案、物流コンペの支援を数多く行ってきた。また、物流子会社に対しては存在価値、あるべき姿の策定、他社との競争力評価(物流子会社評価)を行っている。得意なカテゴリーは、化学、日用雑貨など。また、物流をテーマにした数少ない女性コンサルタントとして、脱炭素、ESGロジスティクス実行に向けた研修やコンサルティングを行っている。

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