物流現場で活躍する女性 2016.02.08

株式会社サンキューコーポレーション 取締役 センター長 水谷 まゆみ 様

今回は、株式会社サンキューコーポレーション 取締役 センター長の水谷まゆみ様にお話しを伺いました。

同社は通販の出荷代行業務、トランクルーム事業、物流診断等をサービスとして提供しております。
水谷様がセンター長を担われている八王子ロジスティックスセンターでは、主にインターネット通販の出荷代行を行っており、約200社のお客様と取引をしております。同センターでは働かれている方の9割近くが女性スタッフ(パート社員含む)で構成されています。

“物流業界に興味はなかった?!やりがいを求めて異業種へ転職”

-水谷様のこれまでの経歴について教えてください

「新卒ではなく中途で現在の会社に入社しました。前職は物流とは全く関わりのない仕事をしており、その会社では私が期待する程の仕事量がありませんでした。私は忙しいのが好きでしたので、やりがいのある環境を求めて転職をしたのが物流業界に入ったきっかけです。
元々物流業界に興味があったわけではありませんでしたので、“何も分からない、知識もない”状況で今の会社に入社してすぐに配属されたところが客先への出向でした。
右も左も分からない中でぶつかりながら色々なことを経験し覚えて、馴染んでいきました。
目の前のことに一生懸命になるあまり、今思えば不思議ですが、全く知らない業界で働くことに対して、何も抵抗はありませんでした。おかしいですよね(笑)
その後、今までの経験を生かし、お客様の営業や受注担当の方にヒアリングや調査をし、企業の物流診断を行うようになりました。物流診断を行った流れで、実務を受託したこともありました。」

“私の仕事はセンター長、営業、何でもこなしています!”

-水谷様の担当業務について教えてください

「今は東京都八王子市にある八王子ロジスティックスセンターのセンター長と営業を担当しております。人手が足りない時には代わりに現場に入って作業をすることもあります。
営業に関しては、センターのキャパシティもありますので、新規案件を受注しても、次から次へと現場は受入れることはできません。一度新規の案件が始まると、長くお取引いただけるお客様が多いので、状況を見ながら営業活動をしております。
新規のお客様との業務内容の確認、料金設定、契約、お客様システムとの連携、伝票レイアウト作成等、立上までの準備は私が全て行います。準備ができたら事務所とセンターの担当者に引き継ぎます。
外出が難しくなるので、日常のルーチン業務には関わらないようにしていますが、それ以外では必要があれば事務作業、センター作業等、何でもこなしています。」

“女性の特性を生かしたセンター運営”

-センターを視察させていただきましたが、女性が多く働かれていました。女性で固めた理由は何かあるのでしょうか

「センターの場所柄、住宅地が近くにあり女性が多く集まる環境にありますので、そこを生かしていきたいと考えています。女性の場合は、細かいこと、手間の掛かる作業、手の込んだラッピング等は得意です。当センターは通販のお客様が多いので女性の特性を存分に生かせていると思います。」

手作りの作業台。 作業台に穴を空けて、作業時に発生したクリップを穴に入れることで下の引き出しに溜まる仕組み。 備品の管理に関して工夫されていました。

“みんなが楽しく仕事をしてくれていることが何よりも嬉しい”

-仕事上の成功談、嬉しかったことは何でしょうか

「皆が楽しく仕事をしてくれていることは嬉しいですね。女性スタッフを多く雇用しているため、働き易い環境を意識しています。小さいお子さんがいる場合は午前9時から午後3時頃まで働きたい、生活のために働いている人はフルタイムでしっかり稼ぎたい、しばらくまとめて働いてまとめて休みを取りたいという人もいます。そのようなニーズに応えられるよう、柔軟に休みが取れるようにしています。人数が多いので、人手が足りない場合はやりくりし易いですね。

整理整頓できる手作りの作業代働かれている方の中で、ある程度定番で出勤できる方には、何社か担当のお客様を持たせています。もちろん、何かあった際の責任はこちらで取りますが、担当を持たせた方が、やりがいがあっていいかなと思います。

通販の業務を行っていると、購入された個人のお客様が“レビュー”を書きますよね。今までは物流の業務を行っていても、お客様の声を直接聞く機会はなかなかないじゃないですか。それが、“レビュー”を通じて梱包やラッピングがよかったというコメントが書かれてあると、とても嬉しいですし、担当者も励みにしています。なので、女性スタッフはしょっちゅう“レビュー”をチェックしています。
みんな楽しそうに働いています。会社に来るのにお菓子をいっぱい持ってきたりする方もいますしね(笑)」

こちらも手作りされたもの。“整理整頓できる作業台”

“東日本大震災発生以降、考え方が180度転換”

-仕事をするうえで、心がけていることはありますか

「以前は台風や大雪の場合でも、何とか出荷をやらなければと思っていたのですが、東日本大震災発生後、私の考え方が変わりました。震災発生時、センターの誰一人怪我をせずに無事に済んだことは本当に運がよかったなと思います。出荷より人のほうが大事。何を優先すべきか、ということです。
例えば大雪の日にスタッフから“雪がたくさん降っているので、出社できません”という連絡がセンターにたくさんかかってきます。“無理しなくていいよ、来られるようになったら来てください”と伝えるようにしています。
遅延が発生する際にはきちんとお客様へご連絡し了承を得ております。」

“仕事を抱え込みすぎて休みが3ヶ月で1日だけ・・・”

-逆に失敗談、苦労したことは何でしょうか

「色々な仕事を全部自分ひとりで抱え込んでいた時期がありました。誰かに任せる・頼むほうが、時間がかかると思っていました。仕事を他人に頼んだら、それがきちんと出来ているかどうかチェックしなければならない、そうであれば全部自分でやったほうがよいという考えでいました。しかし、徐々に仕事が増え、休みが取れなくなってしまい、朝から晩まで仕事をして、しまいには休みが3ヶ月に1日程度しか取れませんでした。それではいけないと思い、できるだけスタッフに任せるように順次移行していきました。
今は私でなければできないこと、例えば料金の交渉やお客様への営業訪問等は私が担当しますが、センター業務における大部分はセンターのスタッフに任せています。」

「日々大変なことはありますが、できるだけ前向きに捉えるようにしています。また色々なお客様と商談させていただくなかで、お客様によっては“うちではなくて、他の倉庫もたくさん見た方がいいと思いますよ”とお伝えすることもあります。私たちが提供するサービスにマッチするお客様とお取引できればと思っておりますし、お客様にとってBestな選択をしていただくことが一番大切だと考えております。」

“この商品が自分の手元に届いたらどう思う?”

-女性ならではの”強み”はなんでしょうか

「スタッフの仕事ぶりを見ていると、検品作業は細かいですね。“よく気付いたね!”というような、ちょっとした凹みや傷がある商品を発見することが多いです。作業は丁寧ですし、スタッフも消費者の一人でもありますので、基本的に良品・不良品の判断基準は自分が消費者であることを想定して、迷ったときは“これが届いたらどう思う?受け取ったらどう思う?”という基準で判断するように伝えています。
丁寧に梱包したり、見た目をきれいに取扱っていたりするので、その点に関しては女性のほうが得意な人が多いと思います。」

「事務所のスタッフに関しては、お客様と相対で連絡を取っていますので、“お客様と仲良くしなさい”、“お客様ときちんとコミュニケーションを取りなさい”と伝えています。お客様とのメールのやり取りで仕事に全然関係ないことをやり取りしているときもありますね。お客様と頻繁に連絡を取っているのに、丁寧すぎると、堅苦しくなり相手に距離感を与えてしまいます。あまり砕けすぎるのもどうかと思いますが、ある程度相手のペースを見ながら懐に入っていけるとお互いに言いたいこと、言わなければならないことが伝え易くなると思います。」

おしゃれな電源カバーを発見! もちろん、こちらも手作りです。

“誰から見ても公平な視点を意識する”

-女性が多く働くセンターにおいて、センター長は男女どちらが適しているのでしょうか

「“女性のセンター長は珍しいですね”とよく言われますが、違和感を持ったことはありませんし、男女の違いについても考えたことはありませんが、センター長が男性であっても全然問題ありません。例えば同性である女性のほうがスタッフから話しを聞き易いといった場合は、部下の女性社員が代わりに話を聞いてもらえばいいだけですし、逆に男性のほうが話し易いということもありますので、どちらでもいいと思います。
性別の問題ではなく、誰から見ても公平であろうとする視点を意識しておくことだと思います。」

“挨拶がきちんとできていますね”

-センターで働かれているスタッフの方々に対して、お客様からの評価はいかがでしょうか

「センターをご案内してお客様に一番よく言われるのが“挨拶がきちんとできていますね”ということです。
後はお客様から作業のレクチャーを受ける際に、一緒に担当スタッフも同席して行うのですが、“安心して任せられます、助かります”とのお言葉を言っていただけます。また、“きれいにされていますね”というお言葉もいただきます。どちらもとても嬉しいですね。」

“時間内で仕事を終えられるように”

-今後、物流現場で活躍する女性を増やすために必要なことはなんでしょうか

「女性に限らず、これから就職しようとしている若い人たちが物流業界に入ってこようとしない印象を受けます。なぜかというと勤務時間が読めない、終わりの時間が読めない、休みが少ないといったことが関係していると思います。給料よりも自分の余暇をしっかり取りたいと考えているためだと思われます。
トラックドライバーの場合、午後5時で必ず終わるかというと、道路が混んでいた場合は無理ですよね。そういったところで倦厭する若い人が多いと感じます。これは男女関係ないことです。
弊社では時間内で仕事を終えられるように取り組んでいます。時間通りに終わらせることで、集荷に来てくださる宅配業者の方の負荷軽減、さらには商品をお届けするお客様への納期順守にもつながると思います。
休みや勤務時間をきっちりすることで、女性や若い方々も働き易くなるのではないでしょうか。」


取材後記

 インタビュー前にセンターを視察させていただきました。センター内には、作業し易いように、スタッフの方々が手作りされた作業場が多く見受けられました。また、皆さん明るい表情で働かれており、水谷様のコメントにもありましたが、“みんなが楽しく仕事をしてくれることが嬉しい”まさに水谷様が喜ばれるような作業風景でした。
物流というと肉体労働の多い男性主体の仕事と捉えられがちですが、市場の変化により女性の活躍の領域が増えてきておりますし、女性の活躍が必要な市場へシフトしております。
日本国内の市場においては、インターネット通販の取り扱いが伸びているなか、同センターではB to C向けの通販業務をメインに行っています。
センターで働かれている方が作業スタッフでもあり、消費者でもあるという両面を持ち合わせていることから、常にお客様目線になれる、そういったことが同社における品質、サービスレベルに寄与しているのではないでしょうか。

  • 今回取材させていただいた企業

    会社名
    株式会社サンキューコーポレーション
    設立
    1965年10月25日
    資本金
    4,000万
    代表者
    代表取締役 秋山 悟
    従業員数
    200名(臨時雇用含む)
    事業内容
    TC型配送、エリア別共同配送、出荷代行業務、物流診断、トランクルーム事業
    URL
    http://www.0999.co.jp/

Pen Iconこの記事の執筆者

田代 三紀子

船井総研ロジ株式会社 シニアコンサルタント

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