EVシフトはクルマ革命の柱となるか?!
EVシフトは異業種にとってのチャンス
2017年9月にトヨタとマツダ、デンソーの3社が電気自動車(EV)の開発を手掛ける新会社を設立しました。
世界的な排ガス規制を背景にディーゼル車やガソリン車への規制が強化されていく中で、EV量産体制強化を目指します。
米EVベンチャーのテスラが2017年7月に出荷開始した「モデル3」はすでに受注が50万台に到達しています。
独フォルクスワーゲンも2025年までに世界販売の25%をEVにする方針を掲げるなど、EVシフトの波が広がっています。
日本にとって自動車産業は、雇用を守り日本経済をけん引してきた基幹産業です。もう少し慎重に進めたいという本音もあるでしょうが、大手自動車メーカーの売上の7~8割が海外依存となっている今、悠長なことも言っていられない状況です。 今回のEVシフトは、心臓部分を置き換える大転換となります。 自動車業界にはモーターやバッテリーなどの電子制御装置や電機分野に強い異業種がどんどん参入してきます。
産業構造は大きく変わり、今まで自動車産業を下支えしてきた中小の部品メーカーの中にはすでにこの変化を捉え、得意技術を生かし新規事業を始めているというところもでてきているようです。
気軽にEV体験
私たちの生活に身近なところでは、台湾の電動スクーターのシェアサービス「GoShare」が日本でのサービスを開始しました。
まずは2017年中に沖縄県の石垣島でサービスインし、2018年には他の都市などにもサービス拡大する予定です。このサービスの特徴は街中の要所に設置されたバッテリーボックス兼充電所「GoStation」で、使用済みバッテリーを返却すれば充電済みのものを借りられるという点です。
専用スマホアプリと連携させることで、スマホがキーとなり、アプリから交換用バッテリー予約も可能になるなど、ユーザーの利便性に配慮した機能を搭載しています。
EVシフトは物流を変えるか
国際物流・郵便の世界大手ドイツポストは2021年をめどに保有する約4万7000台の小包配送車のほぼすべてを電気自動車に切り替え、自社のEV生産能力を現在の3倍の年間3万台に高める予定です。さらに2050年にはすべての配送関連のCO2排出量をゼロにする目標を公表しています。
EVは構造がシンプルで制御しやすいため、自動運転技術の開発においても大きなアドバンテージがあり、今後物流現場で自動運転技術の実用化が進むにつれて、EV比率は伸びていくでしょう。
EVシフトは深刻な労働力不足に悩む物流業界の一助になるのでしょうか。ただ現時点では、充電スポットが少ない、都市部の莫大な電力需要に応えられる体制が整っていない、などインフラ面での課題は山積みです。2020年東京オリンピック・パラリンピックは、環境に優しい持続可能な車社会のあり方を世界にしめす絶好の機会です。インフラ整備を加速させ普及に弾みをつけたいところです。